こんにちは。脇本和洋です。

[海外事例にみる継続支援アプローチ編]では、海外の健康サービスのトレンドや注目事例を紹介するとともに、健康サービスの肝となる「継続支援アプローチ」を紹介しています。

今号は、オンラインヨガにみる注目事例を3つ紹介します。

特集:海外事例にみる継続支援アプローチ編

オンラインヨガにみる注目事例

今号の特集テーマは「オンラインヨガ」。

「オンライン×在宅での運動」でいうと、今までにオンラインフィットネス、オンラインリハビリといった切り口で、米国の注目事例を紹介してきました。

日本でも、今後「オンライン×在宅での運動」という市場は大きくなっていくと予想しています。特に女性を意識した場合、ヨガは外せないテーマでしょう。

そこで、今回は、CES(世界最大のテクノロジー見本市)、業界メディアなどで話題となっているオンラインヨガのサービスをいくつか紹介しましょう。

注目事例1:IoTヨガマットで正しいフォームをチェック「YogiFi」

オンラインでヨガのポーズ、動きを正しく行うのは難しいものです。
つまり、「適切な角度、フォームで行うことが難しい点」がオンラインヨガの欠点であり、これを補う必要があります。

紹介するYogiFiは、IoTヨガマットでフォームをチェックできるというものです。

■事例名:YogiFi
https://www.yogifi.fit/

■企業名:Wellnesys Inc(米国)
https://wellnesys.com/

■サービス概要
・同社のアプリから、ヨガメニューを選ぶ(初心者別、健康課題別などあり)
・アプリ画面でインストラクターが、ヨガのポーズをしてくれる
・IoTヨガマットの上で、インストラクターの動きに合わせてヨガのポーズをとる
・IoTヨガマットが、姿勢を診断し(測定方法の詳細は非公開)、リアルタイムでチェックしてくれる
・セッション終了後には、パフォーマンスやバランス・柔軟性といった切り口で評価がアプリに表示される

■費用:399ドル

■継続利用を高める工夫
・評価点数を使って競争できるコミュニティがある
・ライブクラスもあり、グループでも体験できる(費用は不明)

注目事例2:ウエアを使って正しい姿勢をチェック「PIVOT Yoga」

確かに、YogiFiのようにヨガマットでフォームチェックできるというのはいいアイデアです。
もっと正確にやる方法を考えた会社もあります。それが、PIVOT Yogaです。この会社はセンサーをつけたウエアを使います。

■事例名:PIVOT Yoga
https://pivot.yoga/

■運営企業名:TuringSense, Inc.(米国、サンフランシスコ)
http://www.turingsense.com/

■設立:2015年

■資金調達:6億円(2021年8月時点)

■サービス概要
・同社のアプリから、自分が取り組みたいヨガのメニューを選ぶ
・インストラクターの動きに合わせてヨガを行う
・ヨガウエア(シャツ+パンツ)に内蔵されている16個の小型センサーがヨガの姿勢をチェックする
・自分のアバターが画面に現れ、トレーナーとの姿勢の差がわかる

■費用:センサー付きウエア 99ドル(アプリ含む)

■継続利用を高める工夫
・オプションとして、少人数でのライブレッスン(1回7ドル程度が多い)を定期的に実施し、飽きにくくしている
・少人数でのライブレッスンでは、個々人に対してインストラクターが直接アドバイスしてくれる様子

注目事例3:オンラインヨガでは、快眠を訴求する「Peloton yoga」

事例1や2に見られるよう「フォームの正しさをチェックできること」を特徴とするものがある一方、様々あるヨガの効果に対して、「快眠」を切り口としたプログラムも用意する事例もあります。それが、Peloton yogaです。

Pelotonは、元々はオンラインフィットネス(バイク、トレッドミルを使う)の企業ですが、ここ数年レッスンメニューを拡げ、オンラインヨガにも力を入れています。

■事例名:Peloton
https://www.onepeloton.com/

■サービス開始:2015年(ヨガは2020年頃から力を入れる)

■売上:1,825億円(2020年8月時点)

■サービス概要
・スピンバイクスタジオ(ニューヨークにある)で行われる一体感あるライブクラスを、自宅でも体験できる
・参加者は、エクササイズバイク(2,000ドル前後)を購入し、その後オンラインのライブクラスを受講する(月39ドル程度)
・ライブクラスのメニューとして、ヨガにもここ数年で力を入れる
・ヨガインストラクターは現在9名

■継続利用を高める工夫
・ヨガのクラスは、時間、クラスタイプ(初級者向けなど)、音楽といった切り口で、自分の興味のあるクラスを選べる
・ヨガインストラクターが、「The Power of Sleep Program」を展開。これは、会員だけのプログラムで、14日間プログラムになっている(内容は、就寝前の瞑想やヨガが中心と思われる)。「睡眠」を切り口とし、ヨガと絡ませることで、継続利用を促す

事例からの学び

今回は、オンラインヨガをテーマに、3つの注目事例(「YogiFi」、「PIVOT Yoga」、「Peloton yoga」)を紹介しました。

YogiFiとPIVOT Yogaに共通している点は、オンラインヨガの欠点である「適切な角度、フォームで行うことが難しい点」を補おうとすることです。

オンラインヨガに限ったことではありませんが、オンラインでの運動をサービスとして考える場合、この欠点になんらかの手をうつ必要があります。
これはサービス企画開発で外したくないポイントです。

また、Pelotonは、ヨガの効果の一つに「快眠」を据えました。
一般的にヨガの効果としては、ダイエット、冷え性やむくみの改善などがありました。
コロナ禍において、睡眠に問題がある人が増えており、効果を拡げた点には、注目したいですね。 【脇本和洋】

参考>本編「海外事例にみる継続支援アプローチ編」をお読みの方へ

我々スポルツが今までに調べてきた500超の事例から実績をベースに16事例を選定。米国先進事例の「行動継続を促す工夫」を調査分析したレポートの紹介です。

詳細は以下となります。ぜひ参考にしてください。

●ヘルスビズウォッチ・レポート
継続ドライバ型海外先行デジタルヘルス事例16(2023年版)
ー サービスの継続利用を高めるアイデアを、
チームで精度高く短期間で生み出すための発想素材! ー

健康ビジネスキーワード

「平均・標準・常識の罠」

多くの生活者に受容してもらおうとすると平均的な指向になる。
誰もがわかるものは標準的になる。
最初からみんなで一緒にできることは常識的なことになる。

これら3つの発想からはイノベーションは生まれない。
新しい価値を生むプロセスでは平均・標準・常識を捨てよう!
偏っていて
極端で
一見オカシイ着眼点からイノベーションの可能性が広がります。

今週の注目記事クリップ

[1]積水ハウス、「男性育休白書 2021 特別編」発表【PDF】
https://www.sekisuihouse.co.jp/company/topics/library/2021/20210907.pdf
https://www.sekisuihouse.co.jp/
2022年4月の「改正育児・介護休業法」試行を前に、男女2,800人に男性育休に関する大規模調査を実施。企業経営層と一般職層の意識差による「男性育休の壁」が明らかに。(2021/09/07)

[2]メタジェン、「腸内デザイン共創プロジェクト内 カオスマップ2021」公開!
https://metagen.co.jp/news/2021/09/01180.html
腸内デザイン共創プロジェクトでは、参画パートナー企業と共に、科学的根拠に基づいた研究開発や啓蒙活動による「病気ゼロ」実現に向けた取り組みを行なっている。(2021/09/08)

[3]マネックス証券、業界初!家族に託す株式管理サービス取扱開始
https://info.monex.co.jp/news/2021/20210824_01.html
「たくす株」は、認知症を発症した際の株式などの財産管理と、相続時のスムーズな資産継承をサポートするサービス。(2021/09/08)

[4]Bodygram Japan、AI身体計測アプリ「Bodygram」に身体の“ゆがみ”が一目で分かる新機能『姿勢分析』追加!
https://bodygram.com/ja/pressrelease/pressrelease-20210908
姿勢分析機能の追加で、スマホ写真2枚でAIが骨盤などの歪みを検知。スマホ首や在宅勤務による姿勢悪化を手軽にチェックすることが可能となった。(2021/09/08)

[5]ヘルスケアマーケの世界的トレンド、DX化と「デジタルウェルビーイング」の共存(ウーマンズラボより)
https://womanslabo.com/category-news-market-210908-1
「デジタルウェルビーイング」とは、デジタルと良好な関係を築きながら心身の健康や幸福を構築・形成することを指す。(2021/09/08)

[6]Galaxy、最先端のヘルス&ウェルネス機能を多数搭載「Galaxy Watch4 シリーズ」発売決定(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000254.000030942.html
Googleとの協力により開発した新Wear OS Powered by Samsungを初搭載。また、新開発の体組成測定は、スマートウォッチ側面に2本の指を添えることで、簡単に体組成をチェックすることが可能に。計測にかかる時間は約15秒。(2021/09/08)

[7]エーテンラボ、自治体向け「生活習慣病予防事業」を開始(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000070.000024217.html
本事業は、自治体からの周知により市民が5人1組のチームを組み、チャット形式の励まし合い(デジタルピアサポート)で生活習慣病予防のための行動変容を目指す日本初の取り組み。(2021/09/08)

[8]LINEリサーチ、健康への興味・意識変化についての調査を実施
https://research-platform.line.me/archives/38625380.html
全国の男女約1万人を対象に調査。「健康」に興味がある人は全体で約8割、コロナ前に比べて10代の6割強は「健康」を意識している。「健康」のために心がけていることは「十分な睡眠」「健康的な食事」「水をたくさん飲む」が上位。(2021/09/08)

[9]筑波大学、エネルギー代謝の柔軟性が睡眠時に現れることを発見
https://wpi-iiis.tsukuba.ac.jp/japanese/news/1877/
本研究では、非肥満の健常人について1日を通したエネルギー代謝を測定し、昼間のエネルギー代謝だけでは捉えることのできない個人差(代謝的な柔軟性の違い、加齢の影響や男女差)が、睡眠中に顕在化することを明らかにした。(2021/09/09)

[10]日本調剤、調剤薬局4店舗が「健康サポート薬局」に適合
https://www.nicho.co.jp/corporate/newsrelease/20210909_nr1/
今後も積極的に「健康サポート薬局」への申請を行うとともに、健康サポート機能を有する「健康チェックステーション」を全国的に展開し、地域医療に貢献していく。(2021/09/09)

[11]プレナス、定食レストラン「やよい軒」で3種の『筋肉定食』を新発売【PDF】
https://www.plenus.co.jp/files/optionallink/0001924.pdf
https://www.plenus.co.jp/
『筋肉定食』は、主食のごはんをキャベツサラダに変えることでカロリーを抑えつつ、タンパク質を多く含む皮なし鶏もも肉や、牛赤身肉を使った満足度の高い定食に仕立てた。(2021/09/09)

[12]JR東日本スポーツ、「国内初!大人世代を対象としたパーソナルトレーナー養成コース」の開講について【PDF】
https://www.jresports.co.jp/news/pdf/20210910.pdf
https://www.jresports.co.jp/
参加対象は、40歳から70歳の男女で自身が運動を通じて健康や幸福になった経験があり、副業やリタイア後の仕事としてパーソナルトレーナーを志す方。(2021/09/10)

[13]ファンケル、「睡眠&疲労感ケア」(機能性表示食品)新発売【PDF】
https://www.fancl.jp/news/pdf/20210913_suiminnhiroukankea.pdf
https://www.fancl.jp/
「睡眠の質の向上」と「起床時の疲労感を軽減」の両方にアプローチするサプリメント。協和発酵バイオが開発した「L-オルニチン一塩酸塩」とクチナシの果実などに含まれる「クロセチン」を配合。(2021/09/13)

[14]メタジェン、AuB株式会社と腸内環境と深部体温に関する共同研究を開始
https://metagen.co.jp/news/2021/09/01174.html
本共同研究の成果をもとに、腸を"温める"という外部刺激により腸内環境を整え健康課題を解決するインナーウェアを開発し、来年2月を目処に発売予定。(2021/09/14)

[15]花王、社員に「休み休みWork Style」推奨ー働き方の変化を受けて、健康維持を目的に啓発ー
https://www.kao.com/jp/corporate/news/business-finance/2021/20210914-002/
「リフレッシュタイム」の活用、「思いやりタイム」の推奨、などの取り組みを通じて、就業時間内でも積極的な「休息・休憩」が取れる社内風土の醸成と環境づくりを進めていく。(2021/09/14)

[16]ファンケル、「ファンケルオリジナル枕(カバー付き)」新発売【PDF】
https://www.fancl.jp/news/pdf/20210914_fancloriginalmakura.pdf
https://www.fancl.jp/
心身の疲労回復に重要な睡眠の“質”を高めるために、老舗寝具メーカーの西川と共同開発したオリジナル製品。眠りの妨げの理由の一つに挙げられる寝返りに着目。肩と首のハリやだるさが気になる方にお勧め。(2021/09/14)

[17]ファーストコーポレーションなど、「ウェルビーイングシティ構想」を始動【PDF】
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS80280/fbd1d6c3/ccf6/4da9/bdb2/adbea2fbf72d/20210914092426857s.pdf
https://1st-corp.com/
新ジャンルの分譲マンションブランド「CANVAS」を立ち上げ。「ウェルビーイング」をブランドコンセプトとし、様々なサービス提供を通じて<“自分に正直でいい、自分らしく”をかなえる暮らし。>を目指す。(2021/09/14)

[18]矢野経済研究所、食品宅配市場に関する調査を実施(2021年)
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2800
2020年度の食品宅配市場規模は、前年度比114.3%の2兆4,969億円と推計。新型コロナウイルス感染拡大の影響で宅配需要が急拡大し、近年稀に見る二桁成長を達成。(2021/09/15)

[19]メンタルヘルスの人気プラットフォーム、HeadspaceとGingerが合併へ
https://mhealthwatch.jp/global/news20210908-2
HeadspaceとGingerを合わせると、ユーザーは190カ国以上で1億人近くに達する。合併後の企業体はHeadspace Healthという名称になる。(2021/09/08)

[20]Apple、「Apple Watch」への体温計・血圧計機能の追加を計画か
https://mhealthwatch.jp/global/news20210914
The Wall Street Journalが記事で報じたところによると、将来のApple Watchには「ユーザーに血圧が上昇していることを通知するツールや、妊娠計画を支援するための体温計」が搭載される可能性があるという。(2021/09/14)

[21]『mHealth Watch』注目ニュース:声を失った声帯摘出者の『CoeFont CLOUD』利用が無料に
https://mhealthwatch.jp/japan/news20210921-2
障害を持った方に向けたデジタルを活用したサービスはいくつも考えられ、提供もされてきましたが、誰からお金をもらうかは課題です。『CoeFont CLOUD』はビジネスとしては別に収益を考えられているからこそ、無料提供が実現したのでしょう。(2021/09/21)