[ヘルスコーチングの視線編]ヘルスコーチングの可能性を探る:パーソナライズ対応における「粒度」と「距離感」
こんにちは、里見です。
ヘルスケアのサービスの最近の動向をみていると「パーソナライズ」への対応が比較的多くなってきています。
そこで、今回はこの「パーソナライズ」への対応に関して、ヘルスコーチングの視点で、あらためて整理してヘルスケアサービスへの取り入れ方について解説してみたいと思います。
特集:ヘルスコーチングの視線編
1、「ヘルスコミュニケーション」と「パーソナライズ」はセット
3ヶ月前のこの[ヘルスコーチングの視線編]で、「継続ドライバのトレンドから見るヘルスコーチングへのシフト」として、2018年以降業績を上げているヘルスケアサービスが取り入れている継続ドライバは、以下の3つだとお話ししました。
<2018年~2021年の継続ドライバのトレンド>
成果、ソリューションのアプローチ強化
◯ヘルスコミュニケーション
◯パーソナライズ
◯コミュニティ
この3つの中で、「ヘルスコミュニケーション」と「パーソナライズ」のドライバは、組み合わせて活用されることが多く、特にヘルスコーチングのアプローチでは、「人」の存在を演出したり、人の寄り添いとしての継続ドライバ「ヘルスコミュニケーション」と、アプローチする際の継続ドライバとしての「パーソナライズ」がセットになって扱われます。
その理由として、ヘルスコーチングでは、ゴールや達成イメージを常に意識して、具体的な行動(アクション)に取り組むことが基本的な構造で、この具体的な行動の継続こそが、ゴールや達成イメージを手に入れるには不可欠だからです。
しかし、この「パーソナライズ」への対応については、1対1の対応や対面でのサポート、アプローチであれば、本来の対象者に合わせた「パーソナライズ」な対応が可能なのですが、オンラインを活用したヘルスケアサービスでは、1対1の対応や対面のようなきめ細やかな「パーソナライズ」な対応はなかなか難しいものです。
オンラインを活用したヘルスケアサービスでの「パーソナライズ」な対応でポイントになってくるのが、「パーソナライズ」対応における「粒度」と「距離感」です。
2、パーソナライズ対応における「粒度」
パーソナライズに対応するためには、対象者の情報が必要になります。
対象者の様々な情報を最初から収集できれば、サービススタート時点から細かいパーソナライズな対応が可能です。
しかし、それには対象者へのヒアリングが不可欠なのですが、オンラインのサービスで最初から対象者に対して多くの情報をヒアリングすることは、サービス利用自体の障壁、ハードルになってしまうため、避けたほうが良いです。
そのため、まず最初は、必要最低限のみのヒアリングに留めておいて、サービスを提供していく過程で、対象者との接点、リレーションの中から少しずつ情報を収集していくことで、少しずつパーソナライズな対応範囲、粒度を細かくしていきます。
イメージ的には、サービススタート当初のパーソナライズな対応は、対象者の基本情報が限られているため、ある程度パーソナライズの幅は広く粒度は粗いのですが、サービスを提供していく過程で、対象者との接点、リレーションの中で情報を収集し蓄積していくことで、パーソナライズな対応の幅は次第に狭まっていき、パーソナライズの粒度が細かくなっていきます。
対象者とのリレーションの中で情報を蓄積していきパーソナライズの粒度を細かくしていくアプローチは、継続を促す仕掛けとしても有効な手段だと言えます。
パーソナライズな対応は、ある時点でのみパーソナライズな対応をする「点」として考えるのではなく、対象者との接点、リレーションを通して蓄積する対象者の情報を活用して「線」「つながり」で捉え、よりパーソナライズの「粒度」を細かくしていくことが大切です。
対象者との接点、リレーションを通した情報のやり取りを活かした「パーソナライズ」は、対象者にとって「見てくれている」「寄り添ってくれている」感覚を強めることができるため、継続的な取り組みにもつながっていくのです。
3、パーソナライズ対応における「距離感」
パーソナライズへの対応は、ヘルスコーチング的には対象者の行動の継続に作用することが狙いです。
対象者の行動の継続に作用するパーソナライズな対応としては、以下のようなポイントがあります。
- フィードバック
- 選択支援
- 気づき
- 自己効力感
- 変化 等
パーソナライズというと、個別に提示する、提案するというイメージが強いですが、実はヘルスコーチングの中では、上記のような視点、狙いをもって対象者にアプローチする中でパーソナライズ(個別化)を取り入れてアプローチしていきます。
例えば、具体的な行動、取り組みを選択する際に、対象者のライフスタイルに合うような行動を提示するパーソナライズ対応はわかりやすいですが、対象者の行動、取り組みに合わせた変化のポイントを提示したり、対象者の目標、ゴールに沿った進捗の確認など、アプローチの視点、狙いと対象者へのパーソナライズ(個別化)を組み合わせたアプローチも対象者には「見てくれている」感覚が伝わるパーソナライズな対応なのです。
ここでポイントになるのが、対象者の「継続」に作用するパーソナライズになっているかどうかといった点であり、行動の継続との距離感です。
対象者に対して、声がけする、反応するなどのフィードバックももちろん十分パーソナライズな対応で、パーソナライズとしての「距離感」は近いイメージなのですが、やはり行動の継続の視点を狙った対応や働きかけでのパーソナライズなアプローチのほうが効果的で、行動の継続といったアプローチでの「距離感」としてはこちらの方が近くなります。
このように、対象者へのパーソナライズな対応は様々な部分でアプローチ可能ですが、やはり対象者の行動の継続に作用するパーソナライズな対応を見極めて提供することが重要です。
4、「視点」を拡げて「気づき」を見つけるパーソナライズ対応
ヘルスコーチングは、対象者が主役のコミュニケーションで、ヘルスコーチや専門家はあくまでも伴走者です。
そのため、対象者の「選択の幅」を拡げ「選択を支援」したり、「視点」を拡げて「気づき」を見つける寄り添いを行います。
この「視点」を拡げて「気づき」を見つけるための会話のベースになるのが、「パーソナライズ」という「個別化」のアプローチです。
このアプローチを通して対象者の行動の継続に寄り添っていくことが重要なポイントです。
今回は、「パーソナライズ」への対応に関して、ヘルスコーチングの視点で、あらためて整理してお伝えしました。
ヘルスコーチングには今回の「パーソナライズ」の要素も含めて、具体的な要素がたくさんあり、どんなタイミングでどのような意図を持って具体的に活用していくのかがポイントになってきます。
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健康ビジネスキーワード
「健康ビジネスの80%はダイエットです!」
2000年ごろ我々は「健康ビジネスの80%はダイエットである!」と、このメルマガやセミナーなどで宣言し訴求していました。
今以上の健康を求める生活者に対して、ヘルスケア専門家から最初にでる処方は適正体重化になります。
この場合の多くがダイエット(適正体重への減量)です。
ダイエットサービスのビジネスは昔から存在していて、その中で現在も支持されてきている秀逸なダイエットビジネスのプロセスに健康ビジネスは学ぶべきポイントが無数にあり、かつアプローチする行動も減量が伴う、というのが宣言の主旨なのです。
今週の注目記事クリップ
[1]オムロン ヘルスケア、血圧計の世界累計販売台数が3億台を突破
https://www.healthcare.omron.co.jp/corp/news/2021/0915.html
3億台突破を記念して「脳・心血管疾患の発症ゼロ」を目指して、これまで取り組んできた内容と、これから新たに取り組む事業に関してまとめたグローバルウェブサイトを開設する。(2021/09/15)
[2]NTTデータ経営研究所、「働く人のメンタルヘルスとサービス・ギャップの実態調査」を実施
https://www.nttdata-strategy.com/newsrelease/210915.html
コロナ禍で40-50代の「社会的成功者」にメンタル不調者が増加。必要なケアが届いていないサービス・ギャップが明らかとなった。(2021/09/15)
[3]日本総研、2021年の出生数・死亡数の見通しー新型コロナの影響は限定的だが、一部に見過ごせない動きも
https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=39517
数字の上では、出生数・死亡数とも、コロナ禍の影響は限定的との印象を受けるものの、一部に多大な影響を受けた人たちがいることは見逃せない。(2021/09/15)
[4]第一三共ヘルスケア、鎮痛薬に上手に頼れば“頭痛持ち人口”は減らせる!?頭痛持ち人口と解熱鎮痛薬への意識の関係性
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/info/info_npr_2109_00775.html
過去1年間に頭痛を経験したことがある全国47都道府県の20-50代男女4,888名を対象に、都道府県別の頭痛に関する意識及び実態調査を実施。ひどい頭痛持ちが最も多い上位3県は「鹿児島県」「鳥取県」「山梨県」。(2021/09/15)
[5]博報堂、「会社と私の本音調査」第1回・働き方の本音
https://www.hakuhodo.co.jp/news/newsrelease/93166/
会社で働く3つの階層(経営層・管理職層・一般社員)を対象に調査。働き方や仕事に関する各層の本音を比較したところ、特に経営層と一般社員の大きな意識・価値観のギャップが浮き彫りになった、など。(2021/09/15)
[6]明治、「食スキップ傾向の女性が抱えがちなつらさを緩める5つのヒント」公開(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000078963.html
40-60代女性の食事環境について調査。長引くコロナ禍の影響で、3人に1人が“食スキップの傾向”にあることがわかった。食スキップが日常化してしまうと身体に必要な栄養が不足する「低栄養」となり、身体の不調や衰えの加速に繋がってしまう恐れもある。(2021/09/15)
[7]ニューロスペース、睡眠改善プログラム導入による生産性向上効果を確認、早稲田大学での研究結果が論文公開
https://www.neurospace.jp/blog/news210916?categoryId=299
睡眠が改善することで生産性が上昇することが統計的に明らかになり、プログラムの経済的効果は、1人あたり年間12万円と評価された。(2021/09/16)
[8]パナソニック、家庭での使いやすさと効果を両立したエアーマッサージャー「レッグリフレ」とマッサージチェア「スリムプロ」を新発売
https://news.panasonic.com/jp/topics/204385.html
家庭用マッサージャー購入時に重視する点は「設置場所・収納場所(73%)」と「継続して使えるか」が上位にランク。今回、双方を考慮したマッサージャー2製品を発売する。(2021/09/17)
[9]リソルライフサポートとハルメク・ベンチャーズ、福利厚生サービス「ライフサポート倶楽部」で「おうちで認知機能チェック」の提供開始
https://ventures.halmek.co.jp/news/archives/257
「おうちで認知機能チェック」は、認知症に対して関心が高い方・不安な方に対して早期のリスク発見を促し、適切なタイミングで医療機関を受診していただくために生まれたリスク評価サービス。(2021/09/17)
[10]ガーミンジャパン、ハイブリッドスマートウォッチ「vívomove Style」のUNITED ARROWS限定モデルを発売
https://www.garmin.co.jp/news/pressroom/news2021-0916-garmin-vivomove-style-united-arrows/
軽量かつロングバッテリーに加え、一日の歩数、消費カロリー、ストレススコア、睡眠モニタリングなどを計測するライフログ機能や、電話・メールなどを通知するスマート機能など日常に便利な機能を豊富に搭載。(2021/09/17)
[11]男性の「生理・PMS」の理解度どれくらい?ライフステージで明確な違い(ウーマンズラボより)
https://womanslabo.com/category-marketing-research-210917-1
生理管理アプリ「ルナルナ」を提供するエムティーアイが、男性に特化した「生理に関する意識調査」を初めて実施。調査結果から興味深いファインディングスが得られた。(2021/09/17)
[12]大塚食品、お肉不使用の市販用『ゼロミート』シリーズ4品について「動物性原料不使用」製品にリニューアル【PDF】
https://www.otsukafoods.co.jp/news/pdf/20210921.pdf
https://www.otsukafoods.co.jp/
これまでは「おいしい食感」を再現するための原料として「卵」を使用していたが、さらに多くのお客様に召し上がっていただくため研究開発を重ねた結果、「卵」を使用せず「おいしい食感」を実現。(2021/09/21)
[13]東急スポーツオアシス、元プロテニスプレーヤー吉冨愛子氏を“チーム型”オンライントレーニングサービス「weltag」のパーソナルトレーナーに招聘
https://www.sportsoasis.co.jp/co/news/info/det920.html
同社は、APOLLO PROJECTと連携し、アスリートのキャリア形成に積極的に取り組んでいる。その一環で、APOLLO PROJECTが主催するアスリート向けマインドセットプログラム「A-MAP」の第1期生である吉冨愛子氏が「weltag」のトレーナーに参画することが決定。(2021/09/21)
[14]アシックス、「ASICS WALKING JOURNAL」の本格展開を開始
https://corp.asics.com/jp/press/article/2021-09-21
「ASICS WALKING JOURNAL」は、歩く楽しさや自分らしさを見つけることをテーマにしたウォーキングライフスタイルメディア。初回は俳優であり、ダンサーとしても活躍する森山未來さんのインタビュー記事も配信。(2021/09/21)
[15]アサヒグループ食品、「1本満足バー プロテインブラック」新発売
https://www.asahi-gf.co.jp/company/newsrelease/2021/0921_2/
糖質をカットした甘さ控えめのブラックチョコレートを使用し1本当たりの糖質を5gに抑えた、手軽にプロテインが摂れるシリアルタイプのチョコレートバー。1本にプロテイン15g・ビタミン5種・必須アミノ酸9種を配合。(2021/09/21)
[16]ファンケル、「従業員の健康意識を高める方法」追加開催決定!(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000830.000017666.html
開催日は10月14日(木)。健康経営担当者向け体験型オンラインイベント。本セミナーでは、健康意識を高めるためのヒントや“気づき”を与える健康チェックを紹介する。
[17]『mHealth Watch』注目ニュース:NECが歩行分析センサーで治療の効果測定へ
https://mhealthwatch.jp/japan/news20210927
歩行分析は、歩行の見る化(測定)からどのように対象者の改善につなげていけるかといった、大きな流れとして捉えていくことが大切ではないかと、今回のニュースであらためて感じました。(2021/09/27)