こんにちは。脇本和洋です。
海外事例をヒントに、新規事業企画の支援をしています。

今回は、2019年に上場したPelotonが2020年の決算を発表したので、その速報をお知らせします。

特集:海外事例にみる企画ヒント編

Peloton決算発表、売上は1,825億(前年比2倍)で成長が止まらない

先週(2020年9月11日)に、Pelotonが2020年の決算を発表しました(同社は6月が決算月)。CEOのJohn Foley氏がプレゼンを行いました。

Pelotonは、本メルマガでも2016年から紹介してきている企業です。

今号では、Pelotonを初めて聞く人、Pelotonって聞いたことはあるがあまり知らない人に向けて、

・概要(注目される理由)
・最新の決算数値
・今後の取り組みとして明かされたこと

を紹介します。

Pelotonはフィットネスをテーマにしていますが、健康ビジネスの新規事業なら業界を問わず成功するための考え方がぎっしり詰まっています。

特に、以下のキーワードが気になる方は、ぜひチェックしておくとよい事例と思います。

・サブスクリプションモデル
・豊富なコンテンツを活用した定額モデル
・モノ+サービスによるビジネス拡大

・店舗を使った体験型モデル
・IoTを活用したビジネスモデル
・NPSを使った検証と顧客信頼の増大
・人の魅力とシステムとの融合

まず、簡潔にPelotonの事業概要(注目される理由)をみましょう。

Pelotonの事業概要(注目される理由)

■企業名:Peloton Interactive, Inc
https://www.onepeloton.com/

■設立:2012年
(サービス開始は、実は2015年)

■上場:2019年10月
(サービス開始後わずか4年で上場)

■資金調達:1,900億円超(2020年9月時点)

■NPSスコア:91
NPSは顧客からの信頼を示す指標。ある調査によると1位がTeslaで2位がPeloton。Appleを上回る。

■サービス概要
スピンバイクスタジオ(ニューヨークにある)で行われる一体感あるライブクラスを、自宅でも体験できるサービス。

参加者は、エクササイズバイクを購入し(2,000ドル前後)、その後オンラインのライブクラスを受講します(月39ドル程度)。ニューヨークのスタジオと一体感を感じるフィットネスを自宅で楽しめるというものです。

■サービスをイメージできる動画
https://www.onepeloton.com/bikes

2020年決算数値

2020年の決算で発表された数値(速報値)をみていきしょう。
過去の数値があれば、その数値と比較してみます。

■売上高:前年比2倍に
・1,825億円(2020年)
※915億円(2019年)

■会員数:前年比2倍に
・109万人(2020年6月)
※51万人(2019年6月)

■会員一人当たりの月間クラス受講数
・18回(2020年)
(45分程度のクラスを月に18回受けている)
※12回(2019年)

特に、売上高、会員数が「前年比2倍」に達している点には注目したいです。

さらなる成長に向けた取り組み

9月11日の決算発表では、2021年の取り組みも発表されました。
その中から2つを紹介しましょう。

■新商品:BIKE +(バイクプラス)

新しいバイクを発売開始。最大の特徴は、バイクに付いている液晶モニターが360度回転し、バイク運動以外のクラス(筋トレ、ストレッチ、ヨガ、瞑想など)を受講可能にしたことです。

スピーカーにもこだわりスタジオの臨場感を楽しめます。また、スマートウォッチとデータを連携できるようにもなっています。

■トレッドミルの低額版を今後リリース

2021年初頭に、新しいトレッドミルを発売すると発表。現在のものよりサイズをコンパクトにし、液晶モニターは360度回転する。価格も現在のものより低額にする。

以上、いかがでしたでしょうか。

新しい商品を、より手の届きやすい価格で提供するだけでなく、バイク以外の様々な運動を楽しめるものにしています。

その結果、会員一人当たりの月間クラス受講数がさらに増え、継続利用度を高めていく。そんなストーリーを狙っているように見えます。

今後もPelotonの動向には注目していきます。 【脇本和洋】

本メルマガの参考バックナンバー

<2020年>

・Peloton2年で売上を4倍にした上場ベンチャーが本番サービス前に取り組むこと
https://healthbizwatch.com/column/hbw-903

<2019年>

・急成長企業Pelotonを支えるインストラクター
https://healthbizwatch.com/archive/column/859-2

・急成長企業Peloton社にみる「離れていても一体感を感じる工夫」
https://healthbizwatch.com/archive/column/855-2

参考>本編「海外事例にみる企画ヒント編」をお読みの方へ

我々スポルツが今までに調べてきた500超の事例から実績をベースに16事例を選定。米国先進事例の「行動継続を促す工夫」を調査分析したレポートの紹介です。

詳細は以下となります。ぜひ参考にしてください。

●ヘルスビズウォッチ・レポート
継続ドライバ型海外先行デジタルヘルス事例16(2023年版)
ー サービスの継続利用を高めるアイデアを、
チームで精度高く短期間で生み出すための発想素材! ー

健康ビジネスキーワード

「変わるモノと変わらぬモノ」

テクノロジー&トレンドは絶えず変化し、その中に変わらぬ本質が必ずある。テクノロジー&トレンドだけ真似ての失敗の原因は、変わらぬ本質をベースとしなかったからがほとんどです。

今週の注目記事クリップ

[1]アンファー、「ニッポン健康大調査2020」を発表
https://www.angfa.jp/news/?p=4697
全国47都道府県各100人を対象に、個々人の日常生活習慣の行動や、将来の健康に関する考えなど、“未病対策に対する考え方”を調査した「ニッポン健康大調査2020」を行った。「奈良県」が日本一健康な県として初の全国1位を獲得。(2020/09/02)

[2]ウンログ、ウンログが監修する初の腸活メソッド本「うんちを見るだけで腸ハッピー! 腸活メソッド」発売
https://unlog.co.jp/news/3914/
本書は、「観便」による健康管理のパイオニアとしてウンログが監修。「観便」のポイントや誰でも簡単にできる腸活の方法をまとめた一冊。(2020/09/02)

[3]順天堂大学・花王・パーソナルヘルスケア研究所、歩数調査からみた、緊急事態宣言下の幼児の活動実態
https://www.kao.com/jp/corporate/news/rd/2020/20200902-001/
2020年4~5月の新型コロナウイルス感染症対策の緊急事態宣言下における幼児(1~5才)の活動実態を、歩数の計測を中心に調査。「幼児も保護者も歩数が減少。影響は幼児の方が大きく、3~5才では2~6割減」などの結果となった。(2020/09/02)

[4]西川、日本人の睡眠実態を大調査「西川 睡眠白書 2020」を発表【PDF】
https://www.nishikawa1566.com/news/news_file/file/20200831135740.pdf
https://www.nishikawa1566.com/
今回の調査では2018年、2019年に行った「日本人の睡眠調査」の主要項目に加えて、新型コロナウイルス流行前後の睡眠状態の変化を調査。結果、約8割の回答者が熟睡感や目覚めの良さ、寝つきの良さ等の変化について「変わらない」と回答した。(2020/09/03)

[5]iCARE、Carely、テレワークによる残業増加や疲労蓄積の抜本的なケアをサポート
https://www.icare.jpn.com/news/20200903/
Carelyでは、従業員の残業時間や疲労レベルから健康リスクの高い従業員を自動分析し、迅速な保健指導が実施できる。今回のアップデートにより、過重労働者の上司に対して状況共有できる機能が追加。(2020/09/03)

[6]ジーエルシー、月額制の「スマートミラーサービス開発チームレンタル」を開始(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000053.000030247.html
ジーエルシーが提供する等身大の姿を映し出せるラージサイズのタッチパネルデバイス「スマートミラー2045」の活用を検討する事業者向けに、mofmofが提供する月額制受託開発「開発チームレンタル」をセットで提供し、新サービス開発の支援を開始。(2020/09/04)

[7]ネクストミーツ、世界初となる代替肉のレトルト牛丼「ネクスト牛丼1.2」リリース(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000062184.html
フェイクミート(代替肉)開発ベンチャーのネクストミーツが、ヒット商品の「ネクストバーガー」「ネクスト焼肉」に続いて、渾身の作となる「ネクスト牛丼」を遂にリリース。食感、味、共に牛丼そっくりに仕上がっており、言われなければわからないほどの完成度。(2020/09/04)

[8]健康管理やオンライン診療をスマホアプリで、KDDIが2021年春に提供(日経デジタルヘルスより)
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/08685/?ST=ch_digitalhealth
KDDIは、個人の健康データ管理やオンライン診療ができる健康管理アプリを開発し、2021年4月以降に商用提供すると発表した。体重や運動量管理やAI(人工知能)受診相談といった一部機能は、2020年11月からフィールド実証として東京都豊島区民を対象に提供する。(2020/09/07)

[9]Apple Watchの心電・心拍モニター機能が医療機器承認を取得(日経デジタルヘルスより)
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/08687/?ST=ch_digitalhealth
医薬品医療機器総合機構は、米Appleが医療機器製造販売承認を申請していた、「家庭用心電計プログラム」「家庭用心拍数モニタプログラム」を承認した。これによって、スマートウオッチ「Apple Watch」の心電図機能が国内でも利用できるようになる見通しだ。(2020/09/08)

[10]Propeller Health、日本国内での提供開始
http://mhealthwatch.jp/global/news20200903
デジタル呼吸器を提供するPropeller Healthは、製薬大手のNovartisとの提携により、日本でも提供を開始する。このプログラムは、8月下旬から9月上旬に開始される予定。(2020/09/03)

[11]『mHealth Watch』注目ニュース:リンクアンドコミュニケーション、ライフログから個別に健康メニューや食材を提案
http://mhealthwatch.jp/japan/news20200914
個人のライフログデータを価値あるものとして個人にフィードバックできるかという視点で、外部のデータとの連携の可能性を探っていくことが、今後ライフログサービスとして顧客に選ばれる一つの鍵になっていくと思います。(2020/09/14)