[海外事例にみる継続支援アプローチ編]大手ドラッグストアWalgreensの提携戦略とは?
こんにちは。脇本和洋です。
本メルマガでは毎年この時期、米国企業の決算発表に合わせて主要企業の業績と最新動向をチェックしています。
今回は、大手ドラッグストアWalgreensの動向を確認してみましょう。
特集:海外事例にみる継続支援アプローチ編
Walgreensは米国の大手ドラッグストアです。
処方箋薬の販売が収益の中心ながらも、様々なサービスを組み合わせて収益を拡大しています。
2023年の売上は約21兆円(2023年8月期、1ドル150円換算)を誇る企業です。
今回は、Walgreensの近年の動向を確認してみましょう。
Walgreensはどんな会社?
Walgreensは13,000店舗をもつドラッグストアです。
会員数は1億人を超えるとされます。
収益の柱は処方箋薬の販売です。
コロナ禍で競合がオンライン処方の医薬品の販売を伸ばしたことにより、同社の店舗での処方箋薬の販売は落ち込みました。
処方箋薬だけの販売から脱却することが求められました。
そこで、Walgreensは重要な決断を下しました。
プライマリーケア(かかりつけ医)のクリニックを展開する企業(VillageMD)との提携を通じて、店舗内にクリニックを設置することにしたのです。
さらに、近年はVillageMDの診療データと店舗の購入データを利用して、店舗でヘルスコーチングサービスを提供するようになりました。
直近では、利便性をさらに高めるためにオンライン診療の組み合わせを拡大しています。
行動継続はインセンティブからヘルスコミュニケーションへ
Walgreensはかつて、健康行動(購入)に応じてポイントが加算される「Balance reward会員」という制度で知られていました。
しかし、現在ではこの名前は消え「myWalgreens会員」という制度に代わっています。
もちろんポイントサービスは残っていますが、前ほど目立っていません。
近年のWalgreensの行動継続施策では、専門家によるアドバイスが強化されています。
健康行動の継続を促す要素(継続ドライバ)でいうと、その中心がインセンティブからヘルスコミュニケーションに移行している。そう見ることができます。
※継続ドライバとは
https://healthbizwatch.com/keizoku-driver
Walgreensが予想するドラッグストアのトレンド
これからWalgreensはどんな展開をしていくでしょうか?
2024年初めにWalgreensは「ヘルスケア業界10のトレンド」という記事を発表しました。
これにはWalgreensの今後を占うキーワードが含まれます。
気になるものを3つ紹介します。
1.薬局がヘルスケアの拠点になる
軽度な病気に対する拠点が薬局になる。
ワクチン接種、慢性疾患の管理などを薬局内の医療機関で受けることができれば、さらに利便性は高まる。
2.減量薬への適切な対応
保険会社、病院、雇用主を中心として、減量薬が本当に必要な人に届けられるようになる。
そして、単に減量するだけでなく(リバウンドを防ぐ)包括的なサービスが求められる。
3.生成AIの活用
生成AIの健康領域での活用が本格的に進む。
ドラッグストアでもその動きを注視し、活用方法が深く検討され、新たなサービスが出てきてもおかしくない。
※Walgreens leaders make 10 healthcare industry predictions for 2024
https://www.walgreensbootsalliance.com/news-media/our-stories/walgreens-leaders-make-10-healthcare-industry-predictions-2024
米国で行動継続の手法はどう変わる?
米国はヘルスケア産業のマーケットが大きく、参入企業が新しいことにチャレンジする文化があります。
行動継続の取り組みにおいても、手法の研究や実践を積極的に行います。
今回紹介したWalgreensも、行動継続の中核をインセンティブからヘルスコミュニケーションに短期間で変更しました。
そして、この流れはさらに強まっていくでしょう。
全体的に見ても、米国の行動継続トレンドは「ヘルスコミュニケーション」を中心に、「パーソナライズ」や「モニタリング(PHR)」などの要素が組み込まれています。
まずこれをしっかりと理解いただければと思います。
ご理解いただけたとしたら
次は、代表事例の継続支援の具体的な
・『ノウハウ』
・『裏技』
を知る必要があります。
ノウハウを知るには、各事例のユーザーの声を集めたり、国内で展開されているサービスであれば実際に体験して探っていく方法が有効です。
しかし、とにかくこれにはリサーチ経験が必要なだけでなく、手間(時間)がかかります。
この時間を大幅にカットし、米国の代表事例の「継続ノウハウ」をすぐに知りたい方は、以下のレポートを活用してください。
●【海外先行デジタルヘルスレポート】
健康行動の継続率を高めるノウハウ(2024年版)
https://healthbizwatch.com/seminar/report002
チームで共有でき、何度も見直せる「レポート形式」をとっています。
健康ビジネスキーワード
「ドラッカーに学ぶ_002」
「保守的は悪いことではない、、、」
イノベーションの成功者は
リスク志向ではなく、機会志向であり保守的だ。
イノベーションを成功させる人たちは、リスクを求めて飛び出すよりも、時間をかけてキャッシュフローを調べる。
※出典:「イノベーションと起業家精神」2007年
今週の注目記事クリップ
+++★注目ニュース解説動画(解説:脇本和洋)★+++
【今回の注目】
Googleの生成AI「Gemini」が進化、Fitbitの今後の展開予想(2024/05/14)
https://io.google/2024/intl/ja/?_gl=1vjhklw_upMQ.._gaNzU5MjA1ODA0LjE3MTYwMjE5OTE._ga_Y56JWV5N8T*MTcxNjAyMTk5MC4xLjAuMTcxNjAyMTk5MC4wLjAuMA
https://blog.google/technology/health/google-generative-ai-healthcare/
→解説はコチラ
https://youtu.be/kPml5acsfvQ (7分)
Googleの年次開発者向け会議より。生成AI「Gemini」のヘルスケア活用例も紹介。
+++★注目記事クリップ★+++
[1]森永製菓、独自素材“パセノール(TM)”で、ヒトにおいてサーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)の発現の増加を世界で初めて確認
https://www.morinaga.co.jp/company/newsrelease/detail.php?no=2660
機能性関与成分として「ピセアタンノール」を含有する森永製菓独自の機能性表示対応食品素材“パセノール(TM)”の摂取群にて、基礎疾患の疑いのない成人男女においてサーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)発現が増加する事を確認しました。(2024/05/09)
[2]Topcon Healthcare、Microsoft社とパートナーシップを締結
https://www.topcon.co.jp/news/14282/
Microsoft社のコネクテッド・ヘルスケア・プラットフォームを通じてAIを活用した「Healthcare from the Eye(眼を通じた全身の健康管理)」を推進する。(2024/05/09)
[3]ExaMD、医療VRのジョリーグッドと業務提携。AIとゲームを活用した、在宅×ウェルビーイング・予防医療の新サービスの共創へ
https://exawizards.com/archives/27368/
AI/生成AIを活用したヘルスケアプラットフォーム「バーチャルファミリー」を共同で開発し、楽しみながら得られる会話音声データを活用し認知症等の検知が難しい健康リスクの早期発見や予防に生かしていきます。(2024/05/09)
[4]ナカシン、ゲーム感覚な禁酒アプリ「禁酒マン」がインストール10万人突破!(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000142194.html
本アプリは、ユーザーの飲酒データ(1回に飲む量や週の頻度)を入力すると、我慢した時間に応じて成果(我慢した酒量やカロリー)が自動で計算されます。ドット絵のデザインで見た目から楽しく、辛い禁酒を楽しく継続できるアプリ。(2024/05/09)
[5]10~70代女性のスポーツ実施率が前年より低下、理由は?スポーツ庁(ウーマンズラボより)
https://womanslabo.com/news-women-240509-3
スポーツ庁が「スポーツの実施状況等に関する世論調査(令和5年)」の結果を公表した。運動やスポーツの実施状況に関する国民の実態を把握するため毎年行っているもので、全国の18-79歳の男女4万人の回答を集計した。(2024/05/09)
[6]ONE COMPATHと花王、「ヘルシア」×ウォーキングアプリ「aruku&」コラボキャンペーン開催
https://onecompath.com/news/release/14958/
地図上に現れる住民キャラクター「ヘルシアくん」たちの依頼達成で獲得できる「応募カード」を集めると、プレゼントに応募できる。(2024/05/10)
[7]フィアレスとcotree、メンタルヘルスケアサービス「Sotto」ローンチのお知らせ
https://fearless.vision/information/432/
音楽業界では、アーティストやスタッフなど働く人のメンタルヘルスケアが課題になっている。新サービス「Sotto」は音楽業界専門のメンタルヘルスケアサービスを提供する。(2024/05/10)
[8]「Femtech World Awards 2024」受賞者発表~海外のヘルスケアニュース15選~(ウーマンズラボより)
https://womanslabo.com/news-women-240510-1
英国のフェムテック専門メディア『Femtech World(運営Aspect Publishing社)』が「Femtech World Awards 2024」の受賞者を発表した。女性の健康分野で優れた技術をもつ企業を表彰するイベントで、最優秀賞を受賞したのは「Flo Health」。(2024/05/10)
[9]ONE COMPATH、のべ約11万人が参加した無料の企業対抗ウォーキング&チャリティイベント「1day3000 ソーシャル・ウォーク!」第11弾開催決定!
https://onecompath.com/news/release/15012/
2024年6月27日から7月10日までの14日間開催。3,000歩を達成した平均日数を競う企業対抗「ウォーキングイベント」と、3,000歩達成日数に応じた寄付金を能登半島地震被災地の支援を行う団体に寄付する「チャリティ企画」を開催する。(2024/05/13)
[10]クロス・マーケティング、2024年4月 新型コロナウイルス生活影響度調査(健康編)
https://www.cross-m.co.jp/news/release/20240513/
全国20-69歳の男女2,500人を対象に調査を実施。ネガティブに考えがち、自己肯定感が低い、意欲・やる気がないは20代で多い。今後摂取したいサプリメント、女性は「鉄分」60代は「腸内環境」、など。(2024/05/13)
[11]ユーグレナとキューサイ、「SPURT Vege -KEEP UP-(スパート ベジ キープアップ)」を新発売
https://corporate.kyusai.co.jp/news/detail.php?p=9689
持続力のあるカラダをサポートし、不足しがちな緑黄色野菜の栄養素を補うスポーツ用粉末飲料。アスリートの方々にも安心してご利用いただけるよう、アンチドーピング認証「インフォームド・スポーツ」も取得。(2024/05/13)
[12]イノベント、発酵食品の製造が盛んでサーキュラーエコノミーを推進する愛知県にて 食と学びの展示会「発酵食品ワールド」を初開催(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000387.000007306.html
2024年10月23日(水)、24日(木)の二日間、Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場)にて「発酵食品ワールド」を開催。全国から発酵・醸造関連の食材、機器、サービスを一堂に集め、最新の技術や研究情報を発信します。(2024/05/13)
[13]ガーミンジャパン、Garminデバイスをウェルネスプログラムに活用した革新的ソリューションを表彰する「Garmin Health Awards 2024」のエントリー受付開始(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000135223.html
本年で4回目を迎える「Garmin Health Summit」は、応募から審査までの形式を一新。応募プロセスも簡素化し、各応募者は1カテゴリーのみのエントリーとなりました。応募期間は5月31日(金)まで。(2024/05/13)
[14]国立がん研究センター、国際共同研究により世界最大規模の腎臓がんの全ゲノム解析を実施。日本人の7割に未知の発がん要因を発見
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2024/0514/index.html
日本を含む世界11か国の腎細胞がん962症例の全ゲノム解析から発がん要因の解析を行いました。その結果、日本人の腎細胞がんの7割に他国にはほとんど見られない、未知の発がん要因が存在することが明らかとなりました。(2024/05/14)
[15]グローバルインフォメーション、パーソナライズされた健康管理ソリューションの世界市場に関する洞察、2030年までの予測
https://www.gii.co.jp/report/qyr1478235-global-personalized-health-management-solution.html
パーソナライズされた健康管理ソリューション(Personalized Health Management Solution)市場について調査しており、市場規模や動向・需要の予測、成長要因および課題の分析、タイプ・用途・企業・地域別の内訳、競合情勢、主要企業のプロファイルなどの情報を提供。(2024/05/14)
[16]ヤプリ、「ヘルスケア機能」を提供開始。従業員向けアプリで健康支援、店舗向けアプリでロイヤルカスタマー施策支援へ
https://yappli.co.jp/news/news.html?id=01HXG3DM8GB2HEPYMD69G8CNG9
「ヘルスケア機能」は、ヤプリが提供する組織エンゲージメントの課題解決サービス「Yappli UNITE」で、健康経営を促進する機能として利用できる。自社アプリを通じて歩数を自動計測。従業員は歩数データを簡単に確認し、あらかじめ設定した歩数目標に達成するとポイントやスタンプが付与される。(2024/05/14)
[17]RIZAP、減量に最適な食事タイミングを医学的に検証
https://www.rizapgroup.com/news/detail?topics_id=996
東京医科大学らとの共同研究レポート(第2弾)。本研究にて、絶対時刻(時計の時刻)より「体内時計に対応したタイミング」の方が体重・体脂肪変動へ影響したこと、特に、主観的夕の炭水化物摂取と主観的夜の脂肪摂取が体脂肪の増加に影響するという結果が得られた。(2024/05/14)
[18]オイシックス・ラ・大地、在宅での栄養管理に配慮したミールキットコース「がん患者さんとつくった ヘルスケアOisix」販売開始
https://www.oisixradaichi.co.jp/news/posts/240514healthcare/
日本初、医師監修による がん患者さんのための食支援サービス。コースでは国内外のがんと食事に関するガイドラインを参考に、在宅での栄養管理を目的に要件を設定したミールキットを提供。(2024/05/14)
[19]h2o Therapeutics、パーキンソン病向けApple Watch対応アプリ『Foggy』がFDAのクラスII医療機器として登録
https://mhealthwatch.jp/global/news20240508
『Foggy』はApple WatchのTaptic Engineを利用して、患者がすくみ足を経験しているときに振動触覚的な刺激を与える。(2024/05/08)
[20]『mHealth Watch』注目ニュース:若者向けメンタルヘルスアプリでAIやチャットボットを避ける理由
https://mhealthwatch.jp/global/news20240520-2
ご存知のように、ヘルスケア領域においてもAI活用は目覚ましく、特に手間やコストがかかるコミュニケーションへの活用ができることが望ましいと思う声は多く聞かれます。(2024/05/20)