こんにちは、里見です。

ヘルスケアサービスにおいて行動変容は重要なポイントです。

しかし、人の行動を変えるというのは、そんな簡単なことではありません。
これをやれば行動が変わり、良い行動が継続される、というものではないのです。

では、人の行動が変わるためには、どんなことが必要なのでしょうか?

今回は、人の行動が変わる行動変容について、ヘルスコーチングの視点から解説してみたいと思います。

特集:ヘルスコーチングの視線編

ヘルスコーチングの可能性を探る:行動変容に向けたアプローチで必要なことは?

1、ヘルスケアサービスの利用者の多くは行動変容への意欲が強くない

先日、あるヘルスケアサービス提供者とディスカッションした際に、ダイエットサービス利用者の行動変容の難しさを語ってくれました。

ダイエットサービス利用者は、積極的に利用する人と、手軽で簡単そうだからとライトな感覚で利用する人に分かれていて、積極的に利用する人の割合は少なく、多くはライトな感覚で利用する人で、継続率は極めて低いというのです。

しかし、手軽で簡単そうだからとライトな感覚で利用する人も、ダイエットをしたいという願望は積極的に利用する人と変わりません。

ディスカッション相手の意見では、ライトな感覚で利用する人は行動変容に対する意欲が見られない傾向が強いというのです。

そのため、ライトな感覚で利用する人には、ヘルスコーチングのような夢やゴールなどの願望へのアプローチや成功体験に向けたアプローチはあまり機能せず、別の行動に直結するアプローチが必要だという意見でした。

確かに、ヘルスケアサービスの利用者の多くは、手軽で簡単そうといったライトな感覚で利用する人で、行動変容に対する意欲が強くない人が多いと感じます。

2、行動変容とは何か?

健康課題を改善するには、生活や行動を変える必要があることは、ヘルスケアサービスの提供者も利用者も双方認識しています。

ヘルスケアサービスを提供する側は、利用者の行動変容に向けたアプローチを展開しますが、利用者は行動変容の必要性を認識しつつも、生活や行動を変えずに、手軽に簡単に改善できる道を選択します。

しかし、手軽に簡単に改善できそうなことでも、結局行動が続かない、継続できないという状況に陥ってしまうのです。

先日ディスカッションした方が話していたのは、まさに生活を変えずに、行動を変えずに、手軽に簡単に改善できる道を選択している人のことなのです。

しかし、生活を変えずに、行動も変えずに、手軽に簡単に改善できる道を選択する人に、その選択の仕方や行動を変えることの重要性を語っても、そもそも手軽に簡単に改善したい人なので、響かないのです。

では、ヘルスケアサービスを提供する側としてどんなアプローチが必要なのでしょうか?

一般的には、行動に紐づけたインセンティブの提供や、行動と連動させたゲーミフィケーションなど動機づけや別の魅力、目的からの行動に結びつけるアプローチを見かけることが多いです。

ヘルスケアサービスを提供する側としては、行動にフォーカスして、行動そのものにダイレクトにつながるアプローチを提供していきます。

しかし、行動変容の根本的な部分、根底にフォーカスしてみたいのですが、行動変容とは、人の意識が変わることで行動が変わり、最終的に行動を維持するまでの変化のことだと言われています。

行動変容というと、行動を変えることや行動を継続するといった行動の部分に注目されていますが、実は行動へのアプローチの前に、人の意識が変わることも行動変容には重要な要素なのです。

3、人の意識を変える、行動を変える両面からのアプローチ

ヘルスケアサービスでは、行動変容に向けて様々な機能や仕掛けが提供されています。

しかし、その多くはインセンティブやゲーミフィケーションといった行動への直接的なアプローチであり、行動変容の基本である「意識が変わる」という部分へのアプローチが手薄な状況ではないでしょうか。

先日ディスカッションした方が、生活や行動を変えずに手軽に簡単に改善できる道を選ぶ人に対しては、行動変容に向けたアプローチで息詰まっていると言っていました。
手軽に簡単に改善したい人に行動に向けたアプローチを強化しても、そもそも行動を変えようとしない人にとっては面倒にしか映らないのです。

行動変容という言葉の本来の意味やポイントを見ずに、利用者の行動にフォーカスして、行動に直接関係する部分を強化しても、もともと行動への意識が変化していない人には魅力的に感じないのです。

積極的に行動を変えて改善に取り組む人にとっては、行動に直接関係する部分の強化が効果的です。
しかし、生活や行動を変えずに手軽に簡単に改善できる道を選ぶ人にとっては、行動の継続には効果がありません。

ヘルスケアサービスとしての行動変容のアプローチでは、行動に直接アプローチすることと同様に、意識を変えるアプローチも同じくらい重要です。

意識を変えるアプローチと行動に直接アプローチする両面からのアプローチが、ヘルスケアサービスとしての行動変容には欠かせないのです。

4、人の意識の変化には、自らの気づきが重要

人の意識を変えるというのは、人に言われたから変わるような簡単なことではありません。

ヘルスケアサービスの中で、サービス提供者側が対象者の意識を直接変えることは難しいと思います。

だからこそ、先日ディスカッションした人は、生活や行動を変えずに手軽に簡単に改善できる道を選ぶ人へのアプローチが手詰まりだと言っていたのだと思います。

人の意識を変えることに直接アプローチするのは難しいです。
そもそも人に言われて意識はそう簡単に変わらないからです。

しかし、人の意識は自らの気づきによって変化の影響を強く受けます。

自ら気づくことで意識が変わるのです。

だから、ヘルスケアサービスにおける行動変容では、直接行動にアプローチするだけでなく、対象者の自らの気づきに向けたアプローチが必要なのです。

5、気づきからの行動変容

ヘルスコーチングでは、目標に向けた行動の継続にフォーカスし、自走できるスタイルを見つけていくために継続的なコミュニケーションで寄り添います。

このベースになってくるのが、対象者の自らの気づきから主体性を持った取り組みにつなげていくプロセスなのです。

主体性を持った取り組みこそが行動変容には必要で、意識と行動を変えるコミュニケーションやアプローチがヘルスコーチングの特徴です。

その基本となるのが、様々な視点からの投げかけやアプローチ、それに対して言語化して身体の外に出すコミュニケーションであり、そこから生まれる自らの気づきです。

人の意識変化に向けた気づきについては、広い視点でのアプローチが必要で、対象者によっても気づきのポイントが異なります。

コーチはあえてスタート地点に戻って対象者に質問したり、逆に目標やゴール地点から質問するなど、対象者が見えていない成果や変化にアプローチします。

広い視点からアプローチすることで自己効力感も高まっていくのです。


広い視点でのアプローチ例

1)小さな変化、成果を発見する
2)進捗を明確にする
3)ゴールと現状のギャップを明確にする
4)行動、取り組みを整理する(自分に合う、合わないなど)
5)ハードルを整理する、明確にする
など


行動変容は、人の意識と行動の変化、そして継続というところまで含めたものです。

ヘルスコーチングは、ゴールに向けた行動に着目したコミュニケーションですが、その基本は、対象者が自ら気づいて行動につなげていくアプローチです。

行動変容には、ヘルスコーチングのアプローチは欠かせないコミュニケーションとも言えるのです。


今回お話した自らの気づきへのアプローチは、ヘルスコーチングの基本的なアプローチのほんの一例で、ヘルスコーチングにはもっと多くのアプローチの要素があります。

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正しければうまくいかなくてもOKになっていないか否か?

※出典:「企業とは何か」ピーター・F・ドラッカー著1946年

今週の注目記事クリップ

+++★注目ニュース解説動画(解説:里見将史)★+++

【今回の注目】

ティップネス、300名に聞いたダイエット・フィットネスに関する情報源はSNSが過半数!女性は「1位 Instagram」男性は「1位 YouTube」(2024/06/07)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000313.000009907.html

→解説はコチラ
情報、コンテンツはSNSから入手できても、それらを使いこなす、活用するためのサポートが必要(5分37秒)

https://youtu.be/O6Opj6-Uk-0



+++★注目記事クリップ★+++

[1]ライオン、“考え方のくせ”を変えて悩みをサポートするスマートフォン用Web『CoCoRe(ココリー)』がリニューアル
https://www.lion.co.jp/ja/news/2024/4648
『CoCoRe』は、PMSなどの月経周期にともなうイライラや落ち込みに加え、妊娠・育児、更年期などのライフステージにおいて気持ちの不安定さに悩む女性が、感情に振り回されず「ありたい自分」でいられるよう、科学的アプローチでサポートするスマートフォン用Webアプリケーション。(2024/06/12)

[2]メタメンター、科学的根拠に基づいたウェルビーイングの改善・向上に役立つ情報を発信するメディア「WELLBEING MAGAZINE」をリニューアル【PDF】
https://metamentor.tech/wp-content/uploads/2024/06/20240612_Renewal_of_owned_media.pdf
https://metamentor.tech/
本メディアは、対人支援者や企業の人事部門が、クライアントや従業員のウェルビーイングの改善・向上に役立つ情報発信を目指しています。(2024/06/12)

[3]ヨクト、世界初のIoTヨガマット『yoctoMat』リリース
https://yocto-life.co.jp/posts/_TcryegM
「yoctoMat」は、重圧センサーにより姿勢の変化を視覚的に捉えることができ、レッスンのモチベーションや満足度を向上させます。(2024/06/13)

[4]ヘルスケアテクノロジーズ、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)のグループ会社9社にヘルスケアアプリ「HELPO」を拡大
https://healthcare-tech.co.jp/news/20240613.html
CTCのグループ会社で働く従業員は、心や身体の悩みの相談窓口として「HELPO」を24時間365日いつでもご利用いただけます。今回のグループ会社9社への拡大は、CTCが1年間ヘルスケアアプリ「HELPO」を利用し、その好評を受け納入することとなりました。(2024/06/13)

[5]Bodygram Japan、B2Bボディスキャンソリューション「Bodygram」が新機能「Future You(フューチャー・ユー)」を発表!(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000038.000044966.html
本機能は、現在の体型を正確に計測しアバターで可視化、体組成の推定や姿勢診断、体型変化のトラッキング等、ボディデータに関するあらゆるAIソリューションを展開してきた「Bodygram」に、「AIによる未来の体型の提示」という新しい概念を追加するものです。(2024/06/13)

[6]WelbyとWelbyヘルスケアソリューションズ、PHRを活用した「みなし健診」サービスに日本精工健康保険組合が参画決定
https://welby.jp/category/news/240614101000.html
「みなし健診」は、特定健康診査に該当する検査結果(診療情報)を「かかりつけ医」から入手することで、特定健康診査を受診した事とするサービス。医療保険者向けソリューションとして、特定健康診査受診率の向上を推進。(2024/06/14)

[7]キリンホールディングス、株式会社ファンケルの完全子会社化を目的とした公開買付け開始を決定【PDF】
https://www.kirinholdings.com/jp/newsroom/release/2024/0614_01.pdf
https://www.kirinholdings.com/jp/
ヘルスケアとスキンケアの両面から世界のお客様の健康に貢献し、アジア・パシフィック最大級のヘルスサイエンスカンパニーを目指す。(2024/06/14)

[8]ティップネス、日本テレビ開発のフィットネス習慣化アプリ「hibitness」導入第1号として、ティップネス全店で利用を開始【PDF】
https://www.tipness.co.jp/cms-data/pdf/%E3%80%8Chibitness%E3%80%8D%E5%B0%8E%E5%85%A5%E9%96%8B%E5%A7%8B.pdf
https://www.tipness.co.jp/
「hibitness」は、「あなたにフィットするフィットネス」をコンセプトにパーソナライズされた運動提案をおこない、習慣化を支援するためのフィットネスクラブ会員向けアプリです。(2024/06/17)

[9]オムロン ヘルスケアとエムティーアイ、基礎体温測定により、約6割の女性アスリートが体調の変化に気づきやすくなったと回答!
https://www.healthcare.omron.co.jp/corp/news/2024/0618.html
女性のプロアスリートを対象に、3カ月間の基礎体温測定とアプリを活用した体調管理を行い、健康管理やコンディショニングに対する意識や行動の変化を調査。(2024/06/18)

[10]再春館製薬所、軽運動と同等の、生活習慣病予防効果も示唆。「不知火菊」の新たな可能性を発見(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000083.000051751.html
熊本県不知火地方の固有種「不知火菊(しらぬいぎく)」の摂取で、「メタボリックシンドロームや糖尿病」などの生活習慣病の原因となるタンパク質を抑制する効果があることを発見。(2024/06/18)

[11]asken、AI食事管理アプリ『あすけん』が、累計会員数1,000万人突破を記念して「数字で見る『あすけん』」を公開(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000137.000058653.html
『あすけん』にまつわる各種データを集計し、ユーザーの皆さまとともに育ち続ける『あすけん』を数字で「見える化」いたしました。「これまで『あすけん』で痩せた人の総減量数:8,440トン」など。(2024/06/18)

[12]Akili Interactive Labs、3,400万ドルでVirtual Therapeuticsに吸収合併される
https://mhealthwatch.jp/global/news20240613
ADHD患者向けのビデオゲーム型デジタル処方薬や市販のデジタル治療薬を開発するAkili Interactive Labsは、メンタルヘルスおよびフィットネス企業のVirtual Therapeutics社と3,400万ドル相当の合併契約を締結したと報じられた。(2024/06/13)

[13]メンタルヘルス保険プラットフォームのifeelがシリーズBで2,000万ドルを調達
https://mhealthwatch.jp/global/news20240613-2
ifeelは当初、消費者向けの治療プラットフォームとして2017年に設立されたが、パンデミック中に企業が従業員サポートを提供できるように方向転換し、雇用主や保険会社のヘルスケアカバーの一部として提供されるようになった。(2024/06/13)

[14]『mHealth Watch』注目ニュース:あすけん、「Z世代のダイエットに関する意識調査」を公開
https://mhealthwatch.jp/japan/news20240624
「Z世代のダイエットに関する意識調査」には、Z世代がダイエット中によく食べる食事ランキングなども発表されています。Z世代とZ世代の上の世代との違いはもちろん、Z世代を皮切りにしたダイエットサービスのステップをイメージしてみても良いかもしれません。(2024/06/24)