[ヘルスコーチングの視線編]ヘルスコーチングの可能性を探る:ヘルスコーチングにおける生成AIの活用(2)「生成AIをヘルスコーチングで活用する」
こんにちは、里見です。
ヘルスコーチングにおける生成AI活用の可能性や課題、そして役割などについて前回から解説しています。
今回は、生成AIの活用がヘルスコーチングを含めたヘルスケアサービスにどのように役立つかについて、解説したいと思います。
◇前回の詳細
ヘルスコーチングにおける生成AIの活用(1)
「ヘルスコーチングとAIの相性」
特集:ヘルスコーチングの視線編
前回の振り返り「生成AIとヘルスコーチングの相性」
前回はヘルスコーチングと生成AIの相性について、以下の5つの観点から具体的に解説しました。
1)個別化されたコミュニケーション
生成AIは、対象者の状況や目標、ライフスタイルに基づき、個別化されたアドバイスや情報を生成できます。
この点で、パーソナライズされたコミュニケーションを特徴とする両者は相性が良いと言えます。
2)モチベーション維持と行動変容のサポート
生成AIは、対象者の進捗やデータを基に、励ましの声がけやメッセージ送信が可能です。
また、具体的な行動提案や工夫を対象者に合わせて行うこともできます。
モチベーション維持の観点からも、生成AIはヘルスコーチングと高い親和性を持っています。
3)承認やフィードバックの対応
生成AIは、24時間リアルタイムで対象者の行動に応えることが可能です。
この即時対応能力は、ヘルスコーチングが提供する「寄り添い」や「見守られている」という感覚を強化し、非常に相性が良いと言えます。
4)感情への対応と心理的サポート
生成AIは、対象者の感情的なトーンを分析し、適切な言葉で応答する能力を持つとされています。また、対象者が気づいていない小さな変化や成功を見つけて伝えることも可能です。
このような感情への対応能力は、心理的なサポートを重視するヘルスコーチングとの高い親和性を持っています。
5)データの見える化とゴールの具体化、明確化
生成AIは、対象者のデータを視覚的に整理し、それを自然言語でわかりやすく説明できます。
さらに、対象者の課題を踏まえた上で、興味を引き付けるゴールの具体化を支援することも可能です。
この能力は、ヘルスコーチングが行う「ゴール設定」や進捗の可視化を強力に補完し、相性の良さを発揮します。
ヘルスコーチングには多くのアプローチ要素があり、生成AIとの相性の良さはまだ多岐にわたりますが、前回はその中から代表的な上記の5つをご紹介しました。
◇前回の詳細はこちら
では、次に生成AIの具体的な活用シーンを見ていきたいと思います。
生成AIを活用する
生成AIをヘルスコーチングに活用することで、対象者への寄り添いやパーソナライズされた対応を実現し、より効率的かつ継続的なサポートが可能になります。
特に、生成AIの活用がヘルスコーチングを含めたヘルスケアサービスにどのように役立つか、以下の具体的ポイントをご紹介します。
1)パーソナライズされた健康アドバイス
生成AIは、対象者の年齢、性別、健康データ(例:食事内容、運動量、睡眠パターンなど)を基に、個別に最適化されたアドバイスを提供できます。
これにより、対象者は自身に適した食事や運動プランを迷うことなく選択できるようになります。
2)行動データのモニタリングと分析
生成AIは、ウェアラブルデバイスやスマートフォンから取得されるデータをリアルタイムで分析し、行動の傾向や改善ポイントを把握できます。
これにより、変化を見える化し、必要なタイミングで適切な寄り添いやアドバイスを即時に提供することが可能です。
3)コミュニケーションによるサポート
AIを活用したチャットボットなどを使うことで、対象者の質問にリアルタイムで対応し、情報やコンテンツを提供できます。
例えば、栄養に関する質問に答えたり、個別の状況に応じたアドバイスを行うなど、きめ細やかな対応が可能です。
4)習慣化と行動変容のサポート
対象者の行動データを基に、生成AIは行動変容に向けた声かけやサポートを提供します。
例えば、対象者が運動を続けやすいようにその人のライフスタイルに合った工夫のアイデアを提供したり、その人の活動状況のデータに基づいてリマインドを送ったり、達成状況に応じた励ましのメッセージを送るなど、行動の習慣化や行動変容に向けて働きかけます。
5)予防的な健康リスクの検知
生成AIのデータ分析能力を活用することで、生活習慣病リスクやメンタルヘルスの兆候を早期に検知することが可能です。
行動や健康データの変化を基に、潜在的なリスクを予測し、早期対応を促すサポートを行います。
6)栄養や食事のサポート
生成AIは、食事の写真を分析し、摂取内容や栄養素、カロリーを自動記録できます。
さらに、対象者の目的や嗜好、住んでいる地域などを考慮した食事やレシピ、食材の提案も可能です。
7)ストレスやメンタルヘルスサポート
生成AIは、音声や文章解析を通じて、対象者のストレスレベルや感情の変化を分析し、メンタル面のサポートを提供します。
例えば、リラックス方法やメンタルヘルスケアのテクニックを提案し、ストレス管理に役立てることが可能です。
8)データの可視化とフィードバックの提供
様々なデータを見える化し視覚的に分かりやすく表示したり、進捗状況を対象者に伝える機能は、生成AIを絡ませて提示するとよりデータが自分ごと化されるポイントです。
例えば、体重、睡眠、歩数などのデータをそれぞれグラフにするまでの機能ではなく、生成AIを使って各データを組み合わせて見える化することで、単体のデータでは見えなかったデータの連動性から変化が見えやすくなります。
データ自体が対象者にとって価値あるものになり、データを記録することを含めたモチベーションの維持にも役立ちます。
9)医療との連携
生成AIは、データを用いてアラートを検知し、医師などの専門家と共有するための役割としても機能します。
医師などの専門家と連携し、対象者のデータに異常を検知した際には、必要に応じて医師などの専門家に連携することはもちろん、データの詳細を送信することで診断や治療のサポートに役立ちます。
今回は、ヘルスケアの予防領域で、ヘルスコーチングを提供していく中で生成AIが効果的に活用可能な代表的なイメージをご紹介しました。
ヘルスコーチングは、個別対応に多くの人的リソースが必要ですが、生成AIの活用、組み合わせで、その人への負担を軽減することに期待が寄せられています。
しかし、まだ生成AIの活用では、細かいところでは課題もあるのが事実です。
次回は、ヘルスコーチングにおける生成AIの活用の課題や、人と生成AIの役割分担について解説します。次回もどうぞご期待ください。
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「事例活用法」
事例活用にはレベルが5段階あリます。
レベル1:表面的にパクる(真似る)
レベル2:真似て失敗して改善するがまた失敗する
レベル3:本質が何であるかを念頭に真似てみる
レベル4:本質が何であるかを念頭に真似てみて改善する
レベル5:改善プロセスで自分流に磨く
多くのプレイヤーはレベル2で頓挫します。
うまくいくチームはレベル3をアプローチします。
この違いは前者がdoingだけ真似るアプローチで、後者はbeingを模索しながらdoingを試しているという違いです。
魅力的な事例は誰もが注目し真似したくなりますが、ほとんどが表面的なdoingしか見ないで進めてしまいます。
doingを生み出すエンジンとも言えるbeingを学ぶことが事例活用の醍醐味です。
我々ヘルスビズウォッチの事例活用はレベル3からを提案しています。
今週の注目記事クリップ
+++★注目記事クリップ★+++
[1]英国がAIに参入(TechCrunchより)
https://techcrunch.com/2025/01/13/uk-throws-its-hat-into-the-ai-fire/
英国政府は「国家再生の10年」と呼ぶものを開発するための大々的な計画とAI投資への大きな賭けを発表した。(2025/01/13)
[2]ネット環境が良すぎると太りがち?回線速度と肥満の関係 オーストラリアチームが14年分のデータを分析(ITmedia NEWSより)
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2501/16/news068.html
各地域で高速インターネットにアクセスできる割合が1%上昇すると、住民のBMI(体格指数)が1.573上昇し、肥満になる確率が6.6%増加することを示した。(2025/01/16)
[3]2025年のデジタルヘルスリーダーにとっての最優先事項と課題:5つの重要な洞察
https://mhealthwatch.jp/global/news20250121
ヘルスケア・コンサルティング企業のSummit Health Advisors社の最近の調査によると、多くのデジタルヘルスリーダーは2025年のデジタルヘルス分野について楽観的だが、依然として逆風を予想していることが明らかになった。(2025/01/21)
[4]『mHealth Watch』注目ニュース:CES2025で紹介された最新テクノロジー
https://mhealthwatch.jp/global/news20250127
mHealth Watchでは、多くのメディアで掲載されたCES2025に関するヘルスケア関連ニュースをピックアップしていますのでチェックしてみてください。(2025/01/27)
[5]大塚製薬とクオン、男性のスキンケアに特化したファンコミュニティを開設
https://www.q-o-n.com/news/community/9694/
大塚製薬とクオンは、コミュニティでの対話を通じて顧客理解を深め、そこから得られるインサイトをもとに、共感や関心のポイントを解明していきます。(2025/01/15)
[6]Yume Cloud Japan、マインドスケールを活用した新入社員向けの独自プログラムの提供を開始!(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000016.000024394.html
新入社員の悩みや直面するギャップを乗り越えられるスキルを身につける研修と、一人ひとりに寄り添うオンライントークが一つになった他にはないオリジナルサービスを開始します。(2025/01/15)
[7]mitoriz、“新年の目標を立てる人”は約4割で、若い年代ほど沢山の目標を立てる!?“2025年に立てた目標”は生活改善やダイエットなど「健康関連」がトップ
https://www.mitoriz.co.jp/pressrelease/20250115-5200/
「一年の計は元旦にあり」と昔から言われますが、新年を迎えた際に、実際にどれくらいの人が目標を立てているのか、どんな目標を立て、目標達成のために何が重要と考えているのかなどを調査しました。(2025/01/15)
[8]TPCマーケティングリサーチ、完全栄養食の摂取実態とニーズについて調査結果を発表(日経プレスリリースより)
https://www.nikkei.com/article/DGXZRSP685260_W5A110C2000000/
90,000人を対象とした事前調査では、現在、健康を意識して完全栄養食を摂取している人は3.4%となった。生活習慣や栄養に対する意識をみると、完全栄養食ユーザーは、一般的な健康食品ユーザーとは特徴が異なることがわかった、など。(2025/01/16)
[9]味の素、生活習慣改善をサポートする「しっかり食べチェック(R)プログラム」を開発【PDF】
https://news.ajinomoto.co.jp/2025/01/2025_01_17.pdf
https://www.ajinomoto.co.jp/
従業員の健康増進支援の一環として、栄養バランスのよい食事の提供や有識者からのアドバイス、および当社独自の食事改善ツールによる食事・運動のセルフモニタリングを通じて、生活習慣の改善をサポートする「しっかり食べチェック(R)プログラム」を開発しました。(2025/01/17)
[10]筑波大学とS’UIMIN、自覚している睡眠時間や睡眠の質は「当てにならない」【PDF】
https://www.tsukuba.ac.jp/journal/pdf/p20250117141500.pdf
https://www.tsukuba.ac.jp/
睡眠に不調を感じている人の66%は客観的な睡眠計測で問題がなく、逆に、十分に眠っていると感じている人の45%に睡眠不足が疑われることが分かりました。(2025/01/17)
[11]慶應義塾大学、コロナ禍がもたらした新たな格差の実態ー所得格差に連動したウェルビーイング格差の拡大ー
https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2025/1/20/28-164570/
全国の家計を追跡したパネルデータを解析し、コロナ禍を経て、日本の所得格差は拡大しなかった一方で、生活満足度や心身の健康状態などで測ったウェルビーイングの格差が所得格差に連動した形で拡大していた実態を明らかにしました。(2025/01/20)
[12]大塚製薬、「ウェルビーイングのためのトータルコンディショニングハンドブック」を公開
https://www.otsuka.co.jp/company/newsreleases/2025/20250121_1.html
人々のウェルビーイングの実現に向け、このたび、ライフパフォーマンス(日常生活におけるパフォーマンス)を発揮するために重要となるコンディショニングについて分かりやすく解説する冊子を発行し、WEBページに公開しました。(2025/01/21)