こんにちは。脇本和洋です。

先月まで、[海外事例にみる企画ヒント編]として、お届けしてきましたが、
今月から、[海外事例にみる継続支援アプローチ編]に名称が変わります。

今までは企画ヒントを、多岐にわたって紹介してきました。
今後は、読者の方の直近の課題にマッチさせ、より役立つ内容にしていきます。

その直近の課題の一つが、「継続利用度の高いビジネスを作ること」。
新規事業であれ、既存事業であれ、これは大きなテーマとなります。

今月から継続支援の「基本」をおさえつつ、海外で注目したい「継続支援アプローチ」を紹介していきます。

今号では、腰痛のリハビリをテーマとし、米国で注目されているオンラインリハビリのサービス2社の継続支援アプローチをいっしょにみましょう。

特集:海外事例にみる継続支援アプローチ編

オンラインリハビリサービスの注目事例2社

コロナ禍の元、通院をさけ、自宅で治療を続けたい人は増えるばかりです。
腰痛をテーマにしたリハビリ分野にも同じ流れがきています。

米国ではこの市場にベンチャーが注目。参入した中で、最も注目されている企業は、本メルマガでも紹介したことのある「Hinge health」(資金調達426億円、2021年2月時点)でしょう。そして、「Kaia Health」「SWORD Health」「Joint Academy」「Phsera」などが続きます。

今号では、「Hinge health」を追随している、2社「Kaia Health」「Joint Academy」を紹介しましょう。

※参考バックナンバー:腰痛対策のデジタルヘルスサービス「Hinge health」
https://healthbizwatch.com/column/hbw-922

注目事例1:モーションコーチが腰痛改善の適切な運動を促す「Kaia Health」

■事例名:Kaia Health
https://www.kaiahealth.com/

■サービスイメージ(動画)
https://www.kaiahealth.com/motion-coach/
(このページの上に、80秒程度のイメージの動画があります)

■設立:2016年

■資金調達:48億円(2021年2月時点)

■売り先:病院、保険会社、企業

■サービスの概要

・腰痛患者に対して、同社のアプリを使い、自宅でのリハビリトレーニングの継続を促すサービス

・スマホアポリ内の「モーションコーチ」が最大の特徴。従来のセンサーは体の特定箇所につけるものであり、全身の動きがわからない

・しかし、モーションコーチでは、vision Engineという同社のセンシング技術を使い、体の動きを線でとらえ、全身の動きがつかめる。指導する動きと違った場合、どこが違うかを自動音声で教えてくれる

■サービスの見どころ

腰痛患者は、定期的に病院に行き、自宅でリハビリ運動をすることになります。しかし、今まで自宅での運動に対して、あまりアプローチするサービスはありませんでした。

自宅で一人でリハビリ運動を続けるのは難しいもの。特に、痛みが出ないように適切な角度や負荷で行うことがリハビリにおいて必要になります。そこを、モーションコーチが患者に合った運動を提示、動きのズレを指導してくれ、適切な運動の継続を支援します。

注目事例2:痛み軽減の維持を訴求する「Joint Academy」

■事例名:Joint Academy
https://www.jointacademy.com/us/en/
(このページの上部に1分程度のサービス紹介動画があります)

■設立:2014年

■資金調達:33億円(2021年2月時点)

■売り先:保険会社、企業、一般

■サービスの概要

・腰痛やひざ痛患者に対して、同社所属のPT(理学療法士)が自宅でのリハビリトレーニングの継続を促す

・まずPT(理学療法士)がリアルに会って、その人の体の状態を確認。次にその人にあった、パーソナルプログラムがアプリ内に組まれる

・毎日配信される動画に合わせて体を動かす。PT(理学療法士)がコメントを返してくれる

・アプリ内で痛み度合を記録グラフ化できるようになっており、痛みの低減効果を確認できる

■サービスの見どころ

同社は特長として、3か月で痛みが大きく軽減し、その後、低い痛みレベルを「キープできる」ということを訴求。「再発予防」に、価値をすえたプログラムになっています。

再発予防のためには、行動を継続することが大事。そのために、痛みの低減度や機能回復の状態をグラフで確認でき、成果を感じやすくしている点が特長です。

オンラインリハビリにみる継続支援の工夫:「人」の要素を加える

今回紹介したKaia Health、Joint Academy、いかがでしたか。

両事例ともに、エビデンスはしっかりと整えつつも、
患者のリハビリ行動の継続支援に力をいれています。

Kaia Healthは、リアルな人とのやり取りは不要で、バーチャルコーチが運動の正しいやり方を教えてくれるというもの。

一方、Joint Academyは、リアルのPT(理学療法士)が、自宅での運動をアプリを使いながら支援してくれるというもの。

バーチャル、リアル、いずれであっても、「人」がサポートすることで、自宅での運動を継続させる狙いがあります。

この『人』という要素を絡めて継続支援をするというやり方。
2015年ぐらいから本格的に現れ、今やスダンダートになる継続支援の考え方です。

記録できる、知識が増えるといった機能による継続支援がトレンドになったことが過去にはありました。
しかし、腰痛に限らず、ヘルスケアサービスの継続支援の中心的な要素が、今や「人」となってきています。

やはり、人のパワーって大きいということだと思います。
継続支援のためには、まず「人」を絡めて何かできないか?そう考えてみてはどうでしょう か。 【脇本和洋】

参考>本編「海外事例にみる継続支援アプローチ編」をお読みの方へ

我々スポルツが今までに調べてきた500超の事例から実績をベースに16事例を選定。米国先進事例の「行動継続を促す工夫」を調査分析したレポートを作成しました。

詳細は以下となります。ぜひ参考にしてください。

●ヘルスビズウォッチ・レポート
継続ドライバ型海外先行デジタルヘルス事例16(2023年版)
ー サービスの継続利用を高めるアイデアを、
チームで精度高く短期間で生み出すための発想素材! ー

健康ビジネスキーワード

「摩擦を恐れない!」

新たな価値創造は何らかの摩擦から生まれる。
また、コンフリクト(対立・軋轢)も悪いことではない。

この2つを極端に避けようとするスタンスや、思考行動の方が
返って危険だと思う。

摩擦リスクを取らないことの方がリスキーである。
特に仲間とのリスクの共有は信頼を育て、
未来に向かう強力なベクトルになる。

今週の注目記事クリップ

[1]b-monster、サステナブルレストラン「EAT for E」を渋谷にオープン
https://www.b-monster.jp/news/detail?news=189
ミシュラン1つ星を2年連続で獲得したフレンチレストラン「sio」がフードメニューを監修。さらに地球に優しく、高タンパク質&低脂質なInsect food(昆虫食)をメインに提供し、食事面から理想の身体づくりをサポートしていくレストラン。(2021/03/09)

[2]花王、浴用入浴料「バブ オフロでオフ」新発売
https://www.kao.com/jp/corporate/news/products/2021/20210310-001/
「バブ オフロでオフ」は、余分な皮脂をお風呂で流し、湯上がり後、さらさら肌がつづく浴用入浴料。“カラダまるごとスッキリ浴”を提案。昨年は、自宅で過ごす時間が増えたことで、リラックス目的での入浴も増えた。(2021/03/10)

[3]キリンホールディングス、「笑い」が脳機能に及ぼす健康効果を科学的に検証【PDF】
https://www.kirinholdings.co.jp/news/2021/0310_01.pdf
https://www.kirinholdings.co.jp/
キリンは、吉本興業と静岡県浜松市と協業して、「笑いが脳機能に及ぼす健康効果に関する研究」を開始。本件は、キリンが2020年2月より参画している、「浜松ウエルネス・ラボ」での健康事業の一環。(2021/03/10)

[4]住友ゴム工業とゴルフネットワークプラス、ゴルフライフサポートアプリ「D-GOLF」(ディーゴルフ)誕生!
https://www.srigroup.co.jp/newsrelease/2021/sp/2021_sp20.html
スコア管理・分析やコースGPSナビ機能はもちろん、クラブメーカーならではの独自機能としてプレーヤーのショット結果の記録と分析や、ダンロップゴルフスクールのメソッドに基づくアドバイス機能を備えるなど、ゴルフの楽しみ方がさらに広がる。(2021/03/10)

[5]バスリエ、IT業界の「入浴×睡眠×仕事の満足度」の実態調査報告を発表(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000062.000050030.html
バスリエが提供する健康とお風呂の診断サービス「お風呂診断」のなかで、IT業界で働く717名の回答を分析した結果をお知らせ。「睡眠不足の人は、仕事に『かなり満足している』の回答が驚愕のゼロ%」などが分かった。(2021/03/10)

[6]Fitbit、子供向け次世代アクティビティ&睡眠トラッカーFitbit Ace 3を発表(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000039.000018554.html
Ace 3は、子供がアクティブに活動し、体の成長に必要な睡眠をとるように促すことで、健康的な習慣を身につけることを手助けする。このデバイスは、1時間あたり250歩歩くリマインダーを送るなど、健康維持のモチベーションを高めてくれる。(2021/03/10)

[7]森永乳業、高齢者型の腸内細菌叢が加齢性疾患を促進させる可能性を確認
https://www.morinagamilk.co.jp/release/newsentry-3603.html
研究の結果、高齢者型の腸内細菌叢を有する高齢者群では、動脈硬化症などの加齢性疾患のリスクに関連する代謝産物や、腸管バリア機能を減弱させる代謝産物が多いことが分かり、腸内細菌叢が老化することで全身性の加齢性疾患のリスクが上昇する可能性が示唆された。(2021/03/12)

[8]富士経済、10年間で3,000億円近く拡大 介護関連製品・サービス市場は1.1兆円(2030年予測)【PDF】
https://www.fuji-keizai.co.jp/file.html?dir=press&file=21030.pdf&nocache
https://www.fuji-keizai.co.jp/
この調査では、介護関連製品・サービス41品目の市場調査に加え、高齢者施設の管理者や施設長100名に介護製品の採用動向や施設での自立支援・重度化防止への取り組みに関するアンケート調査を実施したほか、アクティブシニアや要介護認定者の居住実態や介護サービス利用率などを都道府県別に整理した。(2021/03/12)

[9]東京大学、公園の近くに住む高齢女性は緊急事態宣言下も歩数が減りにくい
https://www.t.u-tokyo.ac.jp/foe/press/setnws_202103121626010418329434.html
緊急事態宣言発令の前後(2020年上半期)に、人々の歩数がどのように変化したか、また、その変化が居住地域の住環境によってどのように異なっていたのか、分析。分析対象者は、横浜市が実施する「よこはまウォーキングポイント事業」の参加者18,817人。(2021/03/12)

[10]船橋屋、船橋屋新業態「BE:SIDE」が表参道にオープン(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000140.000030085.html
「BE:SIDE」は、くず餅から生まれた乳酸菌体験施設。216年の歴史が育んだ「くず餅乳酸菌(R)」を使用したSWEETSと、その発酵化粧水を活用した全く新しいTREATMENTを体験できる。(2021/03/12)

[11]TIS、健康状態を数値化する「パーソナルスコア(R)」の提供開始
https://www.tis.co.jp/news/2020/tis_info/20210315_1.html
「パーソナルスコア(R)」は、体重や腹囲、握力などの簡易的な計測を元に、体形と筋力をスコア化し、そのスコアから「身体年齢」を算出できるWebサービス。簡単に算出できる指標のため、定期的な健康チェックに適しており、生活者の日々の健康維持に役立てることができる。(2021/03/15)

[12]ティップネス、「フィットネスクラブ ティップネス駒沢大学」オープン!【PDF】
http://www.tipness.co.jp/co/news/archive/?f=pr20210315_komazawadaigaku_open_w.pdf
http://www.tipness.co.jp/co/
「フィットネスクラブ ティップネス駒沢大学」は、ティップネス史上最大級となる豪華なスパ施設が特徴の、全6フロアからなる大人専用の総合フィットネスクラブ。(2021/03/15)

[13]日本ケロッグ、ケロッグ オールブラン「腸能力アップチャレンジ」(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000068.000040636.html
「腸能力アップチャレンジ」は、発酵性食物繊維を豊富に含む小麦ブランシリアルを使った食事メニューとエクササイズを5日間、これを2フェーズ実践する計10日間で腸能力を高めるプログラムになっている。(2021/03/15)

[14]日本航空とジャルパック、全国のサウナ施設と連携した「JALサ旅ダイナミックパッケージ」を発売
https://press.jal.co.jp/ja/release/202103/005990.html
航空券とサウナ付き宿泊施設を自由に組み合わせられる個人型パッケージツアー商品を企画。また、日本初の、全国を対象としたサ旅御朱印帳を展開。(2021/03/16)

[15]Amazon、法人向けに「Amazon健康支援商品券」の提供を開始(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001268.000004612.html
この商品券では、ヨガ用品やエクササイズ用グッズ、フィットネスウェア、フィットネスマシンなどの購入が可能なため、従業員の在宅勤務や健康増進を支援する福利厚生サービスとして活用できる。(2021/03/16)

[16]バンソウ、「遊ぶだけでヘルシー」野菜不足な現代人のためのボードゲーム『サラダマスター』発売(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000039582.html
文部科学省の食品データを引用して制作。ルールは、もっともお題に合う成分をもった野菜カードを手札から出していくだけ。ただし、スタンドに立てた自分の手札の野菜は名前しか見えないので、知ってるつもりには注意が必要になる。(2021/03/16)

[17]女性たちの反応は?酒類大手、アルコールをグラム表示(ウーマンズラボより)
https://womanslabo.com/category-news-women-210316-1
アサヒ、サントリー、キリンなど酒類大手各社が、酎ハイやビールなど酒類商品のアルコールをグラム量でウェブサイトに開示する取組みを始める。企業側はグラム表示による消費者の”飲み控え”の懸念があるが、消費者側からはこの取り組みを評価する声が多く上がっている。(2021/03/16)

[18]『Alexa』がフィットネスバンド『Halo』と連携、睡眠スコアなどの質問に対応
https://mhealthwatch.jp/global/news20210316-2
Amazonによると、設定で『Halo』アプリを『Alexa』と連携させると、「Alexa、睡眠スコアは何点?」「Alexa、安静時心拍数は?」といった質問ができるようになる。(2021/03/16)

[19]『mHealth Watch』注目ニュース:HingeHealth、鎮痛ウェアラブルメーカーEnsoを買収
https://mhealthwatch.jp/global/news20210322
現在米国では、腰や膝など関節の痛みを支援するサービスに注目が集まっています。その代表的プレイヤーが今回紹介するHinge Healthです。今回のEnso買収は、対象者に合わせた対策の1つとなります。(2021/03/22)