こんにちは。脇本和洋です。

[海外事例にみる継続支援アプローチ編]では、海外の健康サービスのトレンドや注目事例を紹介するとともに、健康サービスの肝となる「継続支援アプローチ」を紹介しています。

今号は、米国のオンラインメンタルヘルスサービスの企業の中から、注目事例「Modern Health」を紹介します。

特集:海外事例にみる継続支援アプローチ編

メンタルヘルスの注目事例「Modern Health」

コロナ禍による雇用不安などを受け、米国ではメンタルヘルスサービスで資金調達に成功するベンチャー企業が増えました。今後も市場が大きく伸びていくと予想されています。

今回は、数あるメンタルヘルスサービスの中から、注目事例「Modern Health」を紹介します。

メンタルヘルスサービスの動向

米国のメンタルヘルスサービスの多くは、うつや不安症で医療機関にかかっている人を対象にしています。
セラピストがカウンセリングを行い、認知行動療法により考え方を変えていくものです。

ただ、考え方を変えても、実際の行動が変わらないこともあります。
そこで、セラピストだけでなく、行動変容を促すコーチがつくというサービスが現れます。(例:前号で紹介のLyra Health)

参考>7月20日号「資金調達に成功し、今後注目のHealthTechベンチャー企業」
https://healthbizwatch.com/column/hbw-950

そして次に、医療機関にかかっていない「普通の人」の、様々な悩みにも対応するサービスがでてきました。
その代表例が、今回紹介する「Modern Health」です。

注目事例:Modern Health(モダンヘルス)

■Modern Health
https://www.modernhealth.com/

■設立:2015年

■所在地:米国サンフランシスコ

■資金調達額:167億円(2021年6月時点)

■売り先:法人企業

■実績:世界で250社以上に導入されている

■CEO:Alyson Watson(Forbes誌の、「世界を変える30歳未満の30人」に選ばれる)

■サービスの考え方
同社のサービスは、「The personalized preventative mental health care platform」と記載があるよう、メンタルヘルスの「preventative=予防」に力を入れたものです。

もちろん、うつ病に対応したサービスもあるのですが、メンタルヘルスの領域は、「うつ病だけでない」ということを根本にすえています。

人の悩みのテーマ(人間関係、仕事の成果、思春期の子への対応、昇進の悩みなど)は人生の時期により変わり、また深刻度も変わります。
Modern Healthは、テーマ、深刻度に合わせて最適なソリューションを提供します。

様々な悩みに対して、一人の臨床心理士がすべての悩みに対応するのではなく、各悩みに対して相談できる専門家を用意しています。

■サービスの流れ
1:スマホアプリを使って、悩みのテーマを選ぶ。テーマには、「人間関係」、「仕事のパフォーマンス」、「人生のチャレンジ」、「金銭的な不安」など、よくある悩みが並ぶ。

2:次に、いくつかの質問に答える(例:最近2週間メンタル的に良好だったかなど深刻度を聞く)。

3:1と2に合わせて、パーソナルプランが提示される。その内容としては、専門分野のデジタルプログラム、グループで学ぶトレーニング、さらには、1対1のコーチングもしくは、セラピストによるカウンセリングなどがある。

4:CIRCLE SERIESというライブのコミュニティセッションでは、コーチやセラピストとともに、同じ悩みを持った人同士で、考え方を情報交換できる。

■サービス継続の工夫
継続の工夫としては、悩みのテーマに合わせて複数の解決手段から選べるということ。まずデジタルで学びたい場合もあるし、すぐに相談にのってもらいたい場合もあるでしょう。自分が一番行動しやすいものが選べるので、サービスを続けやすくなります。

また、悩みのテーマごとに豊富な知識・経験をもつ専門家が対応してくれる点も大きいでしょう。専門家であれば、解決の糸口が見つかることが多く、うまく解決できれば、サービスに対する信頼が増し、継続利用につながっているはずです。

メンタルヘルスサービスの一つの方向性

Modern Healthは、メンタルヘルスの予防をテーマに、早期に手をうち、うつ病の人を増やさないことを狙った事例です。

日本で応用する場合、日本人に合ったテーマやソリューションを用意する必要がありますが、メンタルヘルスサービスの次の形を模索している人にとっては、参考になる事例ではないでしょうか。 【脇本和洋】

参考>本編「海外事例にみる継続支援アプローチ編」をお読みの方へ

我々スポルツが今までに調べてきた500超の事例から実績をベースに16事例を選定。米国先進事例の「行動継続を促す工夫」を調査分析したレポートの紹介です。

詳細は以下となります。ぜひ参考にしてください。

●ヘルスビズウォッチ・レポート
継続ドライバ型海外先行デジタルヘルス事例16(2023年版)
ー サービスの継続利用を高めるアイデアを、
チームで精度高く短期間で生み出すための発想素材! ー

健康ビジネスキーワード

「新規事業とはカルチャー再構築」

カルチャーとはその組織の文化・企業風土のこと。
その組織に漂う空気感のようなもので
見えないけど極めて強力な圧を持っている
アンタッチャブル領域といってもいいかもしれない。

そこをこじ開ける勇気を持てるか
変えていく行動を持続できるか
空気による思考停止をいかに防ぐか
自ら考え育つ組織へのシフトが新規事業の肝なのです。

※今とても輝いている企業の一つ
NETFLIXのカルチャーガイドが秀逸です。
ぜひ、検索してみてください。

今週の注目記事クリップ

[1]サンスターグループ、「バーチャル健康道場」提供開始
https://www.sunstar.com/jp/newsroom/news/20210804/?_ga=2.174574690.1566138325.1628565965-1489108106.1624345219
36年続く同社の社員向け福利厚生施設「サンスター心身健康道場」で培われた知見とノウハウを取り入れた健康法をオンラインで体験できるウェブサービス。(2021/08/04)

[2]SOMPO未来研究所、SOMPO未来研トピックス 2021Vol.07「地域通貨が担う地方創生ーデジタル化で再注目の動きー」
http://www.sompo-ri.co.jp/issue/topics/t202107.html
本稿では、岐阜県飛騨高山地方の「さるぼぼコイン」、千葉県木更津市の「アクアコイン」などの取組を紹介し、地方創生に向けた地域通貨の活用について今後の展望を示す。(2021/08/04)

[3]バスリエ、仕事のデキる人は朝風呂好き!?朝風呂と日中の集中力についての調査報告(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000093.000050030.html
今回の調査で“なぜ朝風呂に入るのか”と“朝風呂の効果”が見えてきた。朝風呂の魅力は“サッパリする・目覚める”こと。アンケートの結果から、実際に約7割の人が朝風呂をして集中力が上がったと感じている、など。(2021/08/04)

[4]ニッセイ基礎研究所、テレワークがもたらす職場のメンタルヘルスケアの変化について
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=68415?site=nli
今後、従業員のメンタルヘルス不調に対する対策の遅れが企業経営にとって大きな損失や業績悪化、労働力不足につながらないよう、より早めに対策を行う必要があると考えられる。(2021/08/05)

[5]明治、マルハニチロと「TANPACT」で新たな企業間連携
https://www.meiji.co.jp/corporate/pressrelease/2021/0810_01/
今般、新たにマルハニチロと協業し、マルハニチロより「TANPACT(タンパクト)」ブランドの新商品「TANPACTチーズかまぼこ」を新発売。(2021/08/10)

[6]AuB、独自の菌素材「アスリート・ビオ・ミックス」の摂取で抗体(IgA)の低下を抑制、感染症予防に向けた可能性示す結果に
https://aub.co.jp/news/athletebiomix_meneki/
アスリートの健康的な腸内環境の調査から、ある特定の菌群(アスリート・ビオ・ミックス)が感染症予防に向けた役割を果たす可能性を示した。(2021/08/10)

[7]vivola、経済産業省による「令和3年度 フェムテック等サポートサービス実証事業間接補助事業者」に採択されました(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000058605.html
不妊治療データ検索サービス「cocoromi」を運営するvivolaは今後、生殖医療医らを含めたコンソーシアム体制にて、不妊治療患者を対象にした遠隔医療スキームの確立、および不妊治療啓発の動画コンテンツ作成事業の取り組みを進めていく。(2021/08/10)

[8]ゴールドウイン、「THE NORTH FACE」から走りを楽しむ全てのランナーへ、環境配慮型のランニングウエアシリーズ「Free Run」発売
https://corp.goldwin.co.jp/info/page-28589
独自のウエアリサイクルの循環型アップサイクルプロジェクト「EXPLORE SOURCE」より。「Free Run Anorak」「S/S Free Run Graphic Crew」など計14型を順次販売。(2021/08/11)

[9]【3分で理解する統計】ヘルスケアマーケターが知っておきたい、日本と女性の全体像(ウーマンズラボより)
https://womanslabo.com/category-marketing-research-21811-1
ヘルスケアマーケティングに役立つ最新の統計を3分で見ていこう。日本の全体像や女性の特徴を、短時間で感覚的に把握したい人向け。(2021/08/11)

[10]アトラスバイオメッド、腸内環境の改善とスポーツの関連性に関する調査結果の発表(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000075534.html
有酸素運動は、善玉菌の増加と全体的な多様性の両方の観点から、腸内フローラの改善に効果があることが研究で示されている。週に数回、30-60分の運動が腸内細菌叢を活性化させる。(2021/08/11)

[11]医薬基盤・健康・栄養研究所、1日に必要なエネルギーは加齢に伴いダイナミックに変動する
https://www.nibiohn.go.jp/information/nihn/2021/08/007235.html
世界29カ国の生後8日から95歳までの6,600人以上の二重標識水法のデータベースを構築し、ヒトの生涯にわたる1日当たりの総エネルギー消費量について分析。(2021/08/13)

[12]デロイト トーマツ グループ、患者の通院やオンライン診療の認知・利用状況に関する調査結果を発表
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/news-releases/nr20210816.html
オンライン診療・オンライン服薬指導の認知度はそれぞれ70.2%、52.2%。利用率は共に6%台に留まるが、新型コロナ感染の不安のある中で再度利用意向は共に76%。(2021/08/16)

[13]ライフログテクノロジー、チームでダイエット成功を目指すオンラインダイエットアプリ「Be TEAM」の食事管理に「カロミル」の食事メニューデータベースAPIを提供
https://www.calomeal.com/pressrelease/20210816.html
「BeTEAM」は、専任のダイエットコーチと一緒に1チーム8人で取組むオンラインダイエット。チームコーチングの手法に基づきチームメンバーとコミュニケーションを取り、励まし合いながらダイエット目標達成を目指す。(2021/08/16)

[14]小林製薬、「ナイトミン 耳ほぐタイム」新発売
https://www.kobayashi.co.jp/corporate/news/2021/210817_01/
寝付きづらい夜に耳を温めながらリラックスさせ、安眠を促す耳せん。「寝付きが悪い」「眠りが浅い」などの課題に対し、耳を温めるという発想と、音ストレスに対処したアプローチで開発。(2021/08/17)

[15]ユーグレナ、「からだにユーグレナ」で機能性表示食品の届出が受理
https://www.euglena.jp/news/210817-2/
独自素材「ユーグレナグラシリス由来パラミロン」を機能性関与成分としたダブル機能性「イライラ感、緊張感の緩和」「睡眠の質の改善」の表示が可能に。(2021/08/17)

[16]ナップワン、スポーツクラブNASと新料金体系を共同開発、フィットネス業界初の「従量課金制サブスクリプション」を実現(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000027.000041914.html
今回導入される「60分プラス」は、固定料金を払えばプラン加入した指定施設を31日の期間中、1日1回60分間、追加料金無しで利用できる。60分以降の利用時は、通常のNupp1の従量課金が適用(1分単位料金)される。(2021/08/17)

[17]新社会システム総合研究所、フードテック・代替タンパク市場の中核を成す代替肉/代替シーフード業界の事業環境と展望
https://www.ssk21.co.jp/S0000103.php?gpage=21407
開催日は9月14日(火)。講師は、野村アグリプランニング&アドバイザリー 佐藤光泰氏。30社のグローバル先進事例を考察して新規参入・事業化のポイントを探る。

[18]新社会システム総合研究所、ヘルスケアデータの民間活用は進むのか?ー利活用を促す制度改正最新動向と民間企業へのインパクトー
https://www.ssk21.co.jp/S0000103.php?gpage=21366
開催日は9月28日(火)。講師は、SOMPO未来研究所 岡島正泰氏。本講演では、制度改正の動向を幅広く確認しながら、民間企業が利用できるヘルスケアデータと利用の方向性、民間企業における事業機会創出やDX推進への示唆および留意点を探る。

[19]初実験で致命的な脳腫瘍を30%縮小させた磁気ヘルメット
https://mhealthwatch.jp/global/news20210805-2
脳腫瘍を発見するヘルメットやAIはこれまでにもあったが、実際に脳腫瘍を治療することもできる新しいヘルメットが登場。(2021/08/05)

[20]個人に合わせた更年期障害緩和のためのアプリを開発するVira Health
https://mhealthwatch.jp/global/news20210816
『Stella』は、12週間の更年期障害治療計画、ヨガクラスや婦人科医とのQ&Aなどのコンテンツやバーチャルイベントを主な特長とする、更年期障害緩和のためのアプリ。(2021/08/16)

[21]音楽を利用して脳卒中患者の歩行能力を改善させるMedRhythms
https://mhealthwatch.jp/global/news20210817
MedRhythms社は、神経系の損傷や病気を患った人の歩行能力を測定し、改善することを目的としたデジタル治療プラットフォームの開発を進めるために、2,500万ドルを調達。(2021/08/17)

[22]『mHealth Watch』注目ニュース:Sharecare、在宅医療プロバイダーCareLinxを6,500万ドルで買収
https://mhealthwatch.jp/column/news202123
今回は、後発ながら米国法人市場で最も大きな売上を出しているSharecareの動向について取り上げました。Sharecareは闇雲に買収して大きくなっているのではなく、提供する市場の顧客にとって、次に必要なものを提案するスピードを早めるために買収をうまく活用しています。(2021/08/23)