こんにちは。脇本和洋です。

[海外事例にみる継続支援アプローチ]では、海外の健康サービスのトレンドや注目事例を紹介するとともに、健康サービスの肝となる「継続支援アプローチ」を紹介しています。

今号は、「シニア向けオンライン運動」にみる注目事例を3つ紹介します。

特集:海外事例にみる継続支援アプローチ編

シニア向けオンライン運動にみる注目事例

前回の特集(9月号)では、女性をターゲットとしたオンラインヨガをとりあげました。
今回は、シニアをターゲットとしたオンライン運動を紹介します。

対象は運動能力が落ちてきていたり、膝や腰に痛みを感じていたり、認知機能の落ちているシニアです。こうしたシニアにとっては、フィットネスというより、低負荷の運動レベルから始めることが大事です。

今回は、「シニア向けオンライン運動」というテーマで、みておきたい海外事例を3つ紹介しましょう。

注目事例1:Age Bold(エイジボールド)

シニア向けには、低負荷の運動メニューがよいといっても、実際にはシニア各人の運動レベルは違うもの。現在のレベルを知り、無理のないメニューを提示できれば、継続率が上がります。

その点、Age Boldはオンラインでの体力テストを充実させ、「その人に合った」無理のない運動を提案します。

■Age Bold
https://www.agebold.com/

■設立:2020年

■資金調達額:7億円(2021年9月)

■サービス概要
シニア向けのオンライン体操プログラム。高齢者の身体機能で衰えやすいバランス機能・筋力・柔軟性をオンラインテストで測定し、その人にカスタマイズした運動プログラムを提供する。

■サービスの流れ
1:BOLDテストをオンラインで受ける。テストではバランス機能、筋力、柔軟性の現在のレベルを、それぞれ1分ほどの運動を実際に行い測定する。測定結果によってクラスと運動プログラムが決まる

2:毎週2~3本の運動動画とBoldコーチからのアドバイスを受け取り、実行する

3:マイページに運動の取り組みが記録され、進歩を確認できる

■サービス継続の工夫
・BOLDテストに基づき、椅子を使った運動、スローな動きの太極拳などハードでない運動メニューが提案される。
・トレーナーは、シニアに近い年齢のトレーナーもいる。同年代のトレーナーが生き生きと運動していることも刺激になる。

■費用
・月25ドル

注目事例2:Mighty Health(マイティヘルス)

無理のない運動メニューを提案するには、BOLDテストのような運動テストを行うことも有効ですが、その他には、シニアの体調や運動習慣を聞く方法もあります。

Mighty Healthは、アセスメントと呼ばれるヒアリングをよく行い、「その人に合った」無理のない運動を提示します。

■事例名:Mighty Health
https://www.mightyhealth.com/

■設立:2018年

■資金調達額:2.8億円(2021年9月)

■サービス概要
膝や関節に痛みがあり、十分な運動ができないシニアを対象とし、無理のないプログラムからスタートする。目的は、減量、心臓病のリスク低減などが中心となる。

■サービスの流れ
1:アセスメントを受ける。アセスメントではBMI値、運動習慣、食習慣、希望する運動ペースや目標などを答える

2:アセスメント結果を利用し、コーチが運動プログラムを考える(80以上の関節に優しい運動メニューの中から紹介する)

3:カスタマイズされた運動メニュー、栄養プランを実行する

■サービス継続の工夫
・アセスメントで自分の希望を伝えられる。例えば、週何回、何分以内の運動を希望するかなど。つまり、ライフスタイルに合わせた運動メニューが提示される。
・成果の見える化を重視し、どの程度できるようになっているかわかる。

■費用
・月29.99ドル

注目事例3:Motitech(モティテック)

シニア向けオンライン運動という切り口で紹介する3つ目は、低負荷のバイクを使い、楽しさを前面に出し、継続を促すものです。

■Motitech
https://motitech.co.uk/

■設立:2013年

■資金調達額:非公開

■サービス概要
バーチャルサイクリングサービス「Motiview」を提供している。世界の様々な場所の映像をサイクリング風景として映し出し、それを見ながら低負荷のバイクをこぐことで、高齢者が楽しみながら運動できる。主に高齢者施設向けに販売され、認知症の人も使っている。

■サービスの流れ
1:同社のバイクを購入、専用アプリケーションをパソコンかタブレット端末にインストールする。大型ディスプレイに接続する

2:アプリケーションのプレイリストから、好きな国や地域を選択し、サイクリングコースを決定する。ディスプレイ上のサイクリング景色を楽しみながら低負荷のバイクをこぐ

3:走行距離や時間を記録する

■サービス継続の工夫
・高齢者がグループで利用し会話が生まれたり、昔の経験が思い出されることで楽しい感情に結びつける。
・ROAD WORLDS FOR SENIORSというMotiviewを使ったバーチャルサイクリングイベントを毎年開催している。

事例からのヒント

今回は、シニア向けオンライン運動をテーマに、3つの注目事例(「Age Bold」、「Mighty Health」、「Motitech」)を紹介しました。

3つの事例に共通するのは、一方的に低負荷の運動を提供するのでなく、「続けてもらうための工夫」をしているということです。

Age BoldとMighty Healthは、テストやアセスメントを行い、『その人に合った』無理のないプログラムを提供することで、継続を促していると言えます。
また、Motitechは、旅行というシニアの多くがもつ『欲求』を結び付けて、継続を促します。

シニア向けオンライン運動というテーマでも、継続が重要な点は変わりません。
単に低負荷の運動メニューを用意するだけでなく、今回紹介した事例もぜひ参考にしてください。

事例からのヒント

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今週の注目記事クリップ

[1]NEXUS、国内初の完全個室型フィットネスクラブ「Majesty」東京・御成門にオープン予定
https://nexus-group.jp/info/2021/1005/1686.html
日本初、フィットネスもサウナも完全個室のハイグレード会員制フィットネスクラブ。利用はスマホから目的のSPA&FITNESSルームを予約、24時間人目を気にせず集中したトレーニングを楽しめる。(2021/10/05)

[2]ロート製薬、在宅中心者は一日のデジタル機器使用時間が約11.4時間!
https://www.rohto.co.jp/news/release/2021/1006_01/
全国の18歳-64歳の男女を対象に「アイケアに関するアンケート」を実施。約80%の人は目の悩みを一つ以上感じ、そのうち約65%は「生活に影響がある」と回答、など。(2021/10/06)

[3]メタジェン、「腸内デザイン共創プロジェクト」2021上半期活動報告
https://metagen.co.jp/news/2021/10/01185.html
同社は「腸内デザイン(R)」のコンセプトを共に広め、これからの医療・ヘルスケア業界の変革にチャレンジする企業連携「腸内デザイン共創プロジェクト」を2016年より推進。2021年度上半期は、腸内環境研究に特化した複数イベントを開催など。(2021/10/06)

[4]富士通、一人ひとりのWell-beingに向き合うDX企業としての働き方へ「Work Life Shift」の進化
https://pr.fujitsu.com/jp/news/2021/10/6.html
アフターコロナを見据えて、オフィスでのリアルなコミュニケーションの効果的な活用を組合わせた真のHybrid Workを実現することや、Lifeのさらなる充実などを目指し「Work Life Shift 2.0」としてより進化した施策を展開していく。(2021/10/06)

[5]難易度が高い「健康経営支援サービス」、中小企業300万社にアプローチする前に知っておきたいデータ(ウーマンズラボより)
https://womanslabo.com/category-news-market-211006-1
今回は、中小企業の健康経営を支援したい企業が、営業・マーケティングの参考になるデータを紹介。健康経営の取組み状況、向き合い方、女性ワーカーの健康施策の実態について見ながら、中小企業への提案で必要なことについて考えていこう。(2021/10/06)

[6]経済産業研究所、心身を癒すヘルスツーリズムの可能性~温泉の活用を例に~
https://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/sekiguchi-yoichi/01.html
本稿では、コロナ禍でストレスを抱える人々の心身を癒し、さらなる成長が期待されるヘルスツーリズムの可能性について、重要な資源の一つである温泉を例に考察する。(2021/10/07)

[7]リロクラブ、業界初!入間市と連携協定
https://www.reloclub.jp/news/20211007/
自治体と民間事業者(リロクラブ)が福利厚生に関する協定を直接的に結び、地元企業に向けたサービスを提供することは業界初の試み。地域価値向上を創造する事業となる。(2021/10/07)

[8]NEC、「歩行センシング・ウェルネスソリューション」を法人向けに提供
https://jpn.nec.com/press/202110/20211008_03.html
歩行センシング・ウェルネスソリューションは、センサで収集した歩行速度、歩幅、接地角度、離地角度、足上げ高さ、足の外回し距離のデータを専用のアプリやダッシュボードから確認することが可能。(2021/10/08)

[9]QUANTUM、自宅とラボで100年歩ける身体をつくる。“歩行専用”トレーニングサービス「walkey」始動【PDF】
https://quantum.ne.jp/wp-content/uploads/2021/10/20211011walkey_pressrelease_final.pdf
https://quantum.ne.jp/
来春のローンチに向け実証実験開始。walkeyは、専門家とともに独自に開発した歩行力診断とメソッドをもとに、お客さま一人ひとりの状態に合ったエクササイズプログラムを提供、専門トレーナーが伴走する。(2021/10/11)

[10]コーセー、顔写真から「今日」と「5年後」、「10年後」“未来のシワレベルを予測”するWEBサービスを開発【PDF】
https://www.kose.co.jp/company/ja/content/uploads/2021/10/20211011.pdf
https://www.kose.co.jp/
世界初、未来のシワを予測する数理モデルを応用したたデジタルツール。今日、5年後、10年後のシワレベル(0~7)を予測し、将来のシワ発生リスク(6段階)と肌タイプを分析、最適なお手入れ方法をアドバイス。(2021/10/11)

[11]健康行動促進の仕掛け作りがうまい企業の啓発キャンペーン事例(国内編)(ウーマンズラボより)
https://womanslabo.com/category-marketing-case-211011-1
今月の乳がん月間をテーマにした連載第2回目では、企業が実施している乳がん啓発事例を紹介。「これなら女性を動かせる!」と編集部の目に止まった事例をピックアップした。(2021/10/11)

[12]ポーラ、男性の肌分析体験人数が昨年と比較し急増
https://www.pola.co.jp/company/news/po20211012/
20-40代の割合が多く、60代以上の美容意識もアップ。長引くマスク生活で以前よりも自身の肌状態が気になったり、オンライン会議の普及で自分の肌を見る機会が増えたことも、美容への意識の高まりに関係していることがわかっている。(2021/10/12)

[13]サントリー、「サントリー ノンアルコール飲料レポート2021」
https://www.suntory.co.jp/news/article/14008.html
ノンアルコール飲料に関する消費者飲用実態・意識調査を実施。2020年のノンアルコール飲料市場は対前年103%と伸長し、過去最大規模に。運動不足や体重増加を懸念した健康を気遣う意識の高まりがノンアルコール飲料の飲用を後押し。(2021/10/12)

[14]KDDIなど、コロナ禍でスマートフォン利用時間が増加し、ゲーム障害、ネット依存傾向の割合は1.5倍以上増加
https://www.atr.jp/topics/press_211012.html
全国の20-69歳男女を対象に、コロナ禍で変化するスマートフォンの利用方法とスマホ依存などへの影響を調査。スマホ依存、ゲーム障害、ネット依存はパンデミックなどの環境変化に大きく影響されるということが分かった。(2021/10/12)

[15]Tokel、オーダーメイド入浴剤「Chapon(チャポン)」全3回の実証実験を経てサービス正式開始!(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000079077.html
無料のお風呂診断を通して3万通りを超える組み合わせから、好みと悩みに寄り添った入浴剤を提案。100%天然由来素材でナチュラル仕様。(2021/10/12)

[16]新社会システム総合研究所、経済産業省がなぜフェムテックに取り組むのか~急成長するフェムテック産業の現状とルナルナ20年からの挑戦~
https://www.ssk21.co.jp/S0000103.php?gpage=21498
開催日は2021年11月30日(火)。昨年度行ったフェムテック産業実態調査から、女性の健康課題やフェムテック産業の現状を紹介しながら、経済産業省がなぜフェムテックに取り組むのか、社会的背景を踏まえ説明する。

[17]FDA、AI医療機器リストを公開
https://mhealthwatch.jp/global/news20211006
最新版のデータベースには343件の承認済みAI医療機器が登録されている一方、AI医療機器を「網羅および包括した資料ではない」点についてFDAから注釈が加えられている。(2021/10/06)

[18]外出先でのエクササイズもサポートする独Straffrのスマートレジスタンスバンド
https://mhealthwatch.jp/global/news20211007-2
バンド全体がセンサーになっており、伸縮可能なゴム製で導電性を持つ。Straffrのチームがこの素材を開発し、いくつかの特許を取得した。(2021/10/07)

[19]研究:Apple Watchが心房細動以外の不整脈も検出できることを示す新たな研究結果
https://mhealthwatch.jp/global/news20211012-2
今回のHeart Studyの追加調査では、Apple Watchから不整脈の可能性に関する通知を受けたものの、医療用心電図によるフォローアップ検査でAFが検出されなかった参加者の40%に、他の不整脈が存在していたことがわかった。(2021/10/12)

[20]『mHealth Watch』注目ニュース:Audibel、ユーザーの環境に反応するAI対応の補聴器『ArcAI』
https://mhealthwatch.jp/global/news20211018-2
今回紹介したAudibel以外にも注目を集めている企業としてはEargoです。どちらも補聴器に持たれていた不満点をICTにより解決するアプローチを取っています。(2021/10/18)