[ヘルスコーチングの視線編]ヘルスコーチングの可能性を探る:ヘルスコーチングにおける生成AIの活用(3)「ヘルスコーチングで生成AIと人のどちらが効果的か」
こんにちは、里見です。
ヘルスコーチングにおける生成AI活用の可能性や課題、そして役割などについて前々回より解説しています。
3回目の今回は、ヘルスコーチングのアプローチで生成AIと人によるヘルスコーチのどちらが効果的なのかについて解説したいと思います。
前々回の詳細(その(1)「ヘルスコーチングとAIの相性」)
前回の詳細(その(2)「生成AIをヘルスコーチングで活用する」)
特集:ヘルスコーチングの視線編
1、前回の振り返り「生成AIをヘルスコーチングで活用する」
前回は、ヘルスコーチングにおける生成AIの具体的な活用シーンを、以下の9つの観点から解説しました。
1)パーソナライズされた健康アドバイス
生成AIは、対象者の年齢、性別、健康データなどを基に、個別に最適化されたアドバイスを提供できるため、対象者は自身に適したプランの中から迷うことなく選択できるようになります。
2)行動データのモニタリングと分析
生成AIは、データをリアルタイムで分析し、行動の傾向や改善ポイントを把握できるため、必要なタイミングで適切なアドバイスを即時に提供することが可能です。
3)コミュニケーションによるサポート
生成AIを活用することで、対象者の質問にリアルタイムで対応し、情報やコンテンツが提供できます。
4)習慣化と行動変容のサポート
対象者の行動データを基に、生成AIは行動変容に向けて、適切な声がけやサポートが提供可能です。
5)予防的な健康リスクの検知
生成AIのデータ分析能力を活用することで、生活習慣病リスクやメンタルヘルスの兆候を早期に検知し、対応を促すサポートが可能です。
6)栄養や食事のサポート
生成AIは、食事の写真を分析し、摂取内容や栄養素、カロリーを自動で記録でき、対象者の目的や嗜好、住んでいる地域などを考慮した食事やレシピ、食材の提案が可能です。
7)ストレスやメンタルヘルスサポート
生成AIは、対象者のストレスレベルや感情の変化を分析し、メンタル面のサポートも提供可能です。
8)データの可視化とフィードバックの提供
様々なデータを見える化し視覚的に分かりやすく表示したり、進捗状況を対象者に伝えることが可能です。
9)医療との連携
生成AIは、データを用いてアラートを検知し、医師などの専門家と共有するための役割としても機能します。
前回は、ヘルスケアの予防領域において、ヘルスコーチングを提供していく中で生成AIがどのように効果的に活用できるか、代表的なイメージをご紹介しました。
ではここから、ヘルスコーチングで対象者をサポートしていく上で、生成AIと人によるヘルスコーチのどちらが効果的なのかについてみていきたいと思います。
2、生成AIと人のそれぞれの特徴
生成AIをヘルスコーチングに活用することで、対象者に寄り添い、パーソナライズされた対応を実現し、より効率的かつ継続的なサポートが可能になります。
ヘルスコーチングのアプローチで生成AIと人によるヘルスコーチのどちらが効果的かについては、実際には対象者のニーズや状況に大きく依存してくると思われます。
両者にはそれぞれの強みや特徴があり、ケースによって適したアプローチが異なるため、以下にそれぞれの特徴とその活用における利点を大まかに整理します。
1)生成AIによるヘルスコーチングの特徴と利点
---1)-1パーソナライズとデータ活用
生成AIは大量のデータを活用して、対象者の過去の行動や体調などの変化や傾向に基づいたパーソナライズされたアドバイスを提供することが得意です。
生成AIを活用することで、短時間で対象者に合わせたプランやアドバイスなどが個別に提供でき、対象者の変化に合わせて柔軟に調整も可能です。
---1)-2リアルタイムでのサポートと即時性
生成AIは24時間稼働可能で、常に対象者の状態や質問にも即時対応が可能です。
チャットボットやリマインダー機能などを活用して、対象者の行動をサポートし、必要に応じたフィードバックも即座に提供が可能です。
---1)-3コスト低減と拡大
生成AIの導入は初期投資が必要です。
しかし、一度構築すれば多くの対象者に同時対応できるため、運用面でコストの低減が図れます。特にビジネス面で規模を求められるヘルスケア事業では、生成AIの活用は適していると言えます。
---1)-4行動変容とセルフモチベーションのサポート
ゲーミフィケーションや進捗のリアルタイムによる見える化やタイムリーなフィードバックなど、対象者自身でモチベーションを高めるような仕組みでの生成AIの活用は利点を活かせます。
2)リアルな人によるヘルスコーチングの特徴と利点
---2)-1感情的サポートと信頼感
人によるヘルスコーチは、対象者とのコミュニケーションを通して信頼関係を構築し、対象者が直面する感情的な問題にも柔軟に対応が可能です。
特にモチベーションの維持が難しい場面や挫折しかかっている時に、共感を持ってサポートできる点が大きな強みになります。
---2)-2柔軟な対応と専門的アプローチ
人によるヘルスコーチは、対象者の状態やライフスタイルの変化に対して柔軟に対応可能で、状況に応じた専門的なアプローチも提供できます。
個別の課題に合わせた高度なアドバイスや、生成AIでは判断が難しい複雑なケースへの対応も人によるヘルスコーチならではの対応が効果的に提供できます。
---2)-3メンタル面でのケア
健康管理、改善の取り組みではメンタル面も密接に関係してきます。取り組みに対するストレスや不安を感じているタイミングなどでは、人によるヘルスコーチがきめ細かな支援が行えます。
例えば、人によるヘルスコーチとのコミュニケーション、対話を通じて対象者自らが考え方を整理することも可能です。
---2)-4フィードバックの質とインタラクションの深さ
人によるヘルスコーチは、対象者の言葉だけでなく、表情や声のトーンからも感情や意欲の変化を読み取り、より適切なフィードバックが提供できます。
リアルな人によるヘルスコーチが一緒に歩むことで、対象者はより安心して健康に向けた行動に取り組めます。
上記のようにヘルスコーチングで生成AIと人によるヘルスコーチを活用する場合には、それぞれの強みや特徴を見極めて、ケースによって適したアプローチを使っていくのが、現状としては良いと思われます。
3、ハイブリッドアプローチの可能性
生成AIと人によるヘルスコーチングのそれぞれの特徴や強みを組み合わせる「ハイブリッドアプローチ」が、現時点では効果的な選択ではないかと考えています。
例えば、日常的なデータ収集と基本的なアドバイス、フィードバックや寄り添いは生成AIに任せ、複雑なモチベーションや心理面を絡めたサポートやしっかりと対象者の感情や状況を見極めた上でのフィードバックなどは、人によるヘルスコーチが担当するといった「ハイブリッドアプローチ」です。
この「ハイブリッドアプローチ」では、日常のルーティン管理や行動のモニタリングを生成AIが担うことで効率を求めたサポートが可能で、人によるヘルスコーチはより対象者に集中した寄り添いが可能になります。
また、生成AIが常に対象者のデータを見ていることで、人によるヘルスコーチはそのデータを基にしたサポートが提供可能になるため、統一性と一貫性のある声がけが行えます。
さらに、生成AIで基本的なサポートを自動化することでコストを抑えつつ、よりきめ細かなサポートが必要なケースに人によるヘルスコーチのリソースが集中できます。
生成AIと人によるヘルスコーチのどちらが効果的かは、対象者のニーズや目的によりますし、提供するサービスによっても大きく異なってきます。
しかし、両者の特徴や強みを活かして生成AIと人によるヘルスコーチを適切に組み合わせる「ハイブリッドアプローチ」が、現時点ではベストな選択ではないかと考えています。
今回は、ヘルスコーチングにおける生成AIの活用の可能性として、生成AIと人によるヘルスコーチのどちらが効果的なのかについて、それぞれの特徴や強みの観点から解説しました。
次回は、ヘルスコーチングにおける生成AIの活用の可能性として、人によるヘルスコーチをサポートする役割としての生成AIの役割、活用といった今回のハイブリッドな組み合わせとは異なるアプローチについて解説します。
次回もぜひご期待ください。
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[1]Tempus、AI対応パーソナルヘルス・コンシェルジュアプリ『olivia』を発表
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このアプリにより、患者は自分の健康情報を1つの統合プラットフォームに集めることができるようになる。(2025/02/12)
[2]2025年、ウェアラブルはどう進化する?ウォッチや指輪型デバイスの興隆と限界
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スマートウォッチは長年、健康管理のパートナーと位置づけられてきたが、ついに現実が理想に追いついてきた。理由の1つは、各社がAIへの投資を拡大していることだ。(2025/02/18)
[3]AYUMI BIONICS、東急コミュニティー様が『AYUMI Scan』を業界初導入!
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AYUMI BIONICSが開発した「AYUMI Scan・AYUMI Board」を、株式会社東急コミュニティー様がマンション管理業界で初めて導入することをお知らせいたします。(2025/02/10)
[4]NECソリューションイノベータとSUSTAINABLEME、働く人々が健康で幸福な持続的社会の実現に向けた包括連携協定を締結し、実証実験を開始(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000034.000119440.html
本協定の取り組みとして、SUSTAINABLEMEが開発中の戦略的ウェルビーイング経営支援クラウド「wellmanager」を活用した実証実験を、NECソリューションイノベータのインキュベーション部門にて、2025年4月より開始します。(2025/02/12)
[5]SPINTECHNOLOGY、AIでメンタルケアの常識が変わる!ストレスの可視化とリアルタイム検知で、早期対策を実現する最新技術(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000141022.html
メンタルヘルスへの関心が高まる中、SPIN TECHNOLOGYは「感情認識AI」という先端技術を活用し、人々の心の健康を支援する取り組みを始めています。本プロジェクトは、心のケアをもっと身近で実用的なものに変えることを目指します。(2025/02/12)
[6]グローバル・ブレイン、非侵襲的大腸がんスクリーニングAIの研究開発および実用化を進めるBoston Medical Sciences株式会社へ出資
https://globalbrains.com/posts/invested-in-boston-medical-sciences-2
Boston Medical Sciencesは、身体的・精神的侵襲性の低い高精度検査を実現し、精密検査忌避者を検査の場に呼び戻すことで、大腸がんによる死を根絶することを目指しています。(2025/02/12)
[7]Rehab for JAPAN、「Rehab Cloud デイリー」連絡帳自動作成機能「連絡帳まとめて生成AI β版」をリリース
https://rehabforjapan.com/news/202502131121/
「連絡帳まとめて生成AI β版」は、「Rehab Cloud デイリー」にご利用者の様子や健康状態などの記録を入力するだけで、利用者一人ひとりに寄り添った連絡帳コメントをAIが自動作成する機能です。(2025/02/13)
[8]FRONTEO、会話型 認知機能検査(神経心理検査)用AIプログラム医療機器(SDS-881)の厚生労働省によるプログラム医療機器に係る 優先審査対象品目への指定について
https://www.fronteo.com/pr/20250214
SDS-881は、自由会話から認知機能の低下の有無を簡便に判定することができる会話型 認知機能検査用AIプログラム医療機器です。このSDS-881による判定結果を活用し、認知症の早期診断や治療介入の促進を図ります。(2025/02/14)
[9]オムロン ヘルスケア、毎月17日は「減塩の日」。高血圧対策および減塩・ナトカリ比の認知・意識に関する調査を実施
https://www.healthcare.omron.co.jp/corp/news/2025/0214.html
本調査では、高血圧対策として最も多くの人が実施しているのは「家庭での血圧測定」(62.1%)でした。続いて「適度な運動」(44.8%)、「体重管理」(39.6%)、「アプリでの血圧値管理」(38.3%)が挙げられました。(2025/02/14)
[10]日本精神医学研究センター、AIドクター「ココロ」リリースから半年で利用者10万人を突破!!(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000146986.html
AIドクター「ココロ」は、クリニック公式ホームページまたはLINEアカウントから、24時間365日、完全無料でご利用いただけます。(2025/02/15)
[11]aiwell、「NEC スポーツ育成支援プラットフォーム」を活用し、高質な栄養指導サービスを開始
https://www.aiwelljapan.com/news/%e3%80%8cnec-%e3%82%b9%e3%83%9d%e3%83%bc%e3%83%84%e8%82%b2%e6%88%90%e6%94%af%e6%8f%b4%e3%83%97%e3%83%a9%e3%83%83%e3%83%88%e3%83%95%e3%82%a9%e3%83%bc%e3%83%a0%e3%80%8d%e3%82%92%e6%b4%bb%e7%94%a8/
トップスポーツの現場で培われた栄養指導のノウハウを「NEC スポーツ育成支援プラットフォーム」でデジタル化することにより、高質な栄養指導ノウハウの体系化・均一化が可能となります。(2025/02/17)
[12]asken、「医療テックニュース」にて、京都大学とaskenの特定臨床研究を通じた治療用アプリの共同開発に関するインタビューが公開されました
https://www.asken.inc/news/20250203-medicaltech-news
京都大学とaskenは治療用アプリの食事療法への活用をテーマに取り組んでおり、特定臨床研究を経て医療現場に適する治療用アプリの開発を行う背景や取り組み内容を中心にお話しております。(2025/02/18)
[13]CureApp、国内初!減酒治療補助アプリ薬事承認取得~今後、保険適用を目指す~
https://cureapp.blogspot.com/2025/02/blog-post_18.html
本治療アプリを、従来の専門医療機関に加えて非専門医療機関でも処方いただけるようにすることで、アルコールとの付き合い方に悩む多くの患者さんの受診を促し、患者さんの気持ちに寄り添った治療の提供を補助することを目指して参ります。(2025/02/18)
[14]『mHealth Watch』注目ニュース:筑波大学、アプリデータで睡眠と栄養の関連を大規模調査
https://mhealthwatch.jp/japan/news20250225
食事管理や睡眠に関するスマートフォンアプリの4,825人分のデータを活用した大規模調査により、タンパク質の摂取量が多い人は少ない人よりも総睡眠時間が長いことなどが明らかになりました。(2025/02/25)