[ヘルスコーチングの視線編]ヘルスコーチングの可能性を探る:ヘルスコーチングにおける生成AIの活用(4)「ヘルスコーチをサポートする役割の生成AIの活用」
こんにちは、里見です。
ヘルスコーチングにおける生成AI活用の可能性や課題、役割について、これまで3回にわたって解説してきました。
その(3)「ヘルスコーチングで生成AIと人のどちらが効果的か」
4回目の今回は、ヘルスコーチングにおける生成AIの活用として、前回お届けしたハイブリッドな組み合わせとは異なり、人であるヘルスコーチを裏側でサポートする役割としての生成AIの活用について、解説します。
特集:ヘルスコーチングの視線編
1、前回の振り返り「生成AIと人のそれぞれの特徴」
前回は、ヘルスコーチングのアプローチで生成AIと人によるヘルスコーチのどちらが効果的かについて、両者のそれぞれの強みや特徴と、その活用における利点を大まかに解説しました。
1)生成AIによるヘルスコーチングの特徴と利点
・パーソナライズとデータ活用
・リアルタイムでのサポートと即時性
・コスト低減と拡大
・行動変容とセルフモチベーションのサポート
2)リアルな人によるヘルスコーチングの特徴と利点
・感情的サポートと信頼感
・柔軟な対応と専門的アプローチ
・メンタル面でのケア
・フィードバックの質とインタラクションの深さ
上記のようにヘルスコーチングで生成AIと人によるヘルスコーチを活用する場合には、それぞれの強みや特徴を見極めて、ケースによって適したアプローチを使っていくのが、現状としては良いです。
また、生成AIと人によるヘルスコーチのどちらが効果的かは、対象者のニーズや目的によりますし、提供するサービスによっても大きく異なってきます。
しかし、両者の特徴や強みを活かして生成AIと人によるヘルスコーチを適切に組み合わせる「ハイブリッドアプローチ」が、現時点ではベストな選択ではないかと考えています。
前回は、このように生成AIと人によるヘルスコーチのどちらが効果的なのかについて、それぞれの特徴や強みの観点からご紹介しました。
前回の詳細はこちら
ではここから、ヘルスコーチングにおける生成AIの活用の可能性として、人によるヘルスコーチを裏側でサポートする役割としての生成AIの活用について見ていきたいと思います。
2、生成AIと人のそれぞれの特徴
ヘルスコーチングで生成AIを活用して人によるヘルスコーチを裏側でサポートする場合、業務の効率化や精度向上に大きく貢献します。
以下に具体的なメリットや管理画面での活用アイデアの例をご紹介します。
◯管理画面での生成AI活用アイデア
1)対象者の進捗状況レポート生成
機能内容:
対象者の運動量、食事記録、睡眠時間、体重の変化などのデータを自動で収集し、直感的に理解できるレポートを生成。
生成AIが「現在の課題」「改善の方向性」「目標達成の見込み」などを文章化して提案。
メリット:
ヘルスコーチはデータ分析にかける時間を短縮し、対象者への説明に集中できる。
レポートは自動的に更新され、リアルタイムで最新情報を把握可能。
2)アドバイス案の自動生成
機能内容:
対象者の目標や現在の進捗に基づいて、生成AIが具体的なアドバイス案を作成。
管理画面上で「アドバイスを編集」「そのまま送信」「修正依頼」などのオプションを選択可能。
例:
「目標の達成に向けて、次週はさらに1日ウォーキングを追加してみましょう」
「最近の睡眠時間が不足気味なので、寝る前のストレッチを試してみてはどうですか?」
メリット:
ヘルスコーチは生成AIが生成した提案を確認・調整するだけでよく、作業負担が軽減。
アドバイスの一貫性が保たれ、対象者からの信頼感が向上。
3)コミュニケーション支援ツール
機能内容:
生成AIが対象者に送るメッセージの下書きを作成。例えば、進捗報告、励ましの言葉、リマインダーなど。
管理画面でメッセージ内容を確認し、編集または自動送信が可能。
例:
「お疲れ様です!今週の運動目標を順調に達成していますね。素晴らしいです!」
「最近体重が増加傾向にあります。食事の内容を一緒に見直してみませんか?」
メリット:
ヘルスコーチが作成するメッセージの作業時間を大幅に削減。
対象者ごとにパーソナライズされた内容がスムーズに提供可能。
4)対象者の感情解析とサポート提案
機能内容:
生成AIが、対象者の日記やメッセージのトーンを解析し、感情状態(例:モチベーション低下、ストレス増加)を推測。
ヘルスコーチに「ストレス管理の提案」「モチベーション向上のサポート案」などを提示。
例:
「対象者が最近ストレスを感じているようです。以下のリラクゼーションアプローチを提案してみてください。」
「モチベーション維持のために、小さな目標設定を追加することをおすすめします。」
メリット:
対象者の心理状態を迅速に把握し、適切な対応が可能。
コーチが感情面に寄り添ったサポートを提供しやすくなる。
5)継続的な行動モニタリング
機能内容:
ウェアラブルデバイスやアプリから収集されたデータを自動的に統合し、行動の傾向を管理画面で見える化。
生成AIが「注意が必要な行動パターン」を検出してヘルスコーチに通知。
例:
「最近の運動頻度が低下しています。モチベーション向上のためのアプローチを検討してみましょう。」
「睡眠不足の傾向を示しています。睡眠改善のアドバイスを送ることを提案しましょう。」
メリット:
ヘルスコーチは重要なポイント、アプローチに集中でき、ユーザーに効果的な介入が可能。
データに基づいたエビデンスベースのサポートを提供。
6)知識データベースの自動更新
機能内容:
ヘルスコーチングに必要な最新の研究や情報を生成AIが自動収集し、管理画面に要約を提示。
ヘルスコーチがその情報をもとに、対象者に科学的根拠のあるアドバイスを提供可能。
メリット:
コーチの知識更新、情報収集の手間を軽減。
最新情報に基づいたサービス提供が可能。
生成AIは、ヘルスコーチを裏側で支援するための強力なツールと言えます。
特に管理画面での活用により、データの分析・提案・コミュニケーションを効率化し、ヘルスコーチが本来のコミュニケーションやパーソナライズ、個別対応に集中できる環境が構築できます。
これにより、ユーザー体験の向上だけでなく、ヘルスコーチ自身の負荷が大幅に低減し、効率化によってヘルスコーチの対応可能な対象者数も大幅に増やすことができます。
今回は、ヘルスコーチングにおける生成AIの活用の可能性として、人によるヘルスコーチを裏側でサポートする役割としての生成AIの活用について解説しました。
次回も、ヘルスコーチングにおける生成AIの活用の可能性について、さらに掘り下げて解説していきたいと思います。次回も、ぜひご期待ください。
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「イノベーションの本質は、破壊にある。」
いまや、どの企業も、どの業界も、「イノベーション」という言葉を日常的に口にするようになっていますね。
それはもはやスローガンというより、現代経営における前提条件のようにすら見えます。
しかし、その言葉の奥行きと本質に立ち止まる人はどれほどいるでしょうか。
ピーター・F・ドラッカーは、現在の利益を生み出している事業が、やがて組織の重荷となる未来を見据えていました。
そして彼は、こう定義していますーー「イノベーションとは創造的破壊である。」
つまり、それは単なる新規性の追求でも、技術革新の礼賛でもない。
既存の成功を問い直し、時に壊す覚悟を伴う営為であるということです。
では、私たちはいま、その文脈の中にいるのでしょうか。
「変わること」を語る一方で、「壊すこと」を避けていないだろうか。
組織の未来は、その問いにどう向き合うかにかかっています。
今こそ、自らに問うべき時かもしれません。
今週の注目記事クリップ
+++★注目記事クリップ★+++
[1]Apple、『Apple News+ Food』でレシピアプリに挑戦
https://mhealthwatch.jp/global/news20250312
この新しいセクションは、ユーザーが既存の「News+」出版パートナー数十社のレシピを検索、発見、保存し、簡単に調理できるようにするものだ。(2025/03/12)
[2]Level Zero Health、ウェアラブル医療技術でホルモン検査の負担を軽減できることを証明するため690万ドルを獲得
https://mhealthwatch.jp/global/news20250312-2
このスタートアップは、侵襲的な採血の必要性をなくし、ホルモンバランスの乱れに関連する症状の新たな治療法や、ホルモンベースの避妊薬の個別投与など、新しい医療革新につながる可能性のある研究を支援したいと考えている。(2025/03/12)
[3]中国、「AI小児科医」を初導入。診断効率向上に期待
https://mhealthwatch.jp/global/news20250314-2
AI小児科医の導入は中国初で、希少疾患など判断しにくい症例の診断をサポートし、小児科医療に新たな変革をもたらすと期待されている。(2025/03/14)
[4]『Pixel Watch 3』、米国で3月に「脈拍損失検出」機能が搭載予定
https://mhealthwatch.jp/global/news20250317-2
Googleは、『Pixel Watch 3』の「脈拍損失検出」機能についてFDAの認可を取得し、3月末に米国で発売すると発表した。(2025/03/17)
[5]『mHealth Watch』注目ニュース:Vori Health、筋骨格ケアプラットフォームに5,300万ドルを調達
https://mhealthwatch.jp/global/news20250324-2
今回注目ニュースでVori Healthを取り上げたのには2つポイントがあります。1つ目はバーチャル(ハイブリッド)による筋骨格ケアが広がっていることです。もう1つのポイントとして、Value Based Healthcare(価値に基づくケア)に力を入れていることです。(2025/03/24)
[6]名古屋大学、タウリンが作用しコレステロールを下げる遺伝子を発見!アンチエイジング機能など、メカニズムの全容解明へ
https://www.nagoya-u.ac.jp/researchinfo/result/2025/03/post-797.html
海産物に多いアミノ酸であるタウリンは、脳、心臓、筋肉、肝臓の健康に重要なことが分かっており、動脈硬化症、脳卒中などの予防に効果的なことがよく知られています。(2025/03/12)
[7]山田養蜂場、酵素分解蜂の子が、騒音性難聴の進行を抑えることを確認【PDF】
https://www.bee-lab.jp/_common/dl/newsrelease/2025/202503_01.pdf
https://www.bee-lab.jp/
イヤホン/ヘッドホンの利用が日常的になっている現在、以前と比べ騒音による難聴リスクが高まっています。世界保健機関(WHO)は、「世界では10億人を超える若者が安全ではない音の聴き方により、難聴の危険にさらされている」と報告し、2050年までに4人に1人が聴覚障害を患うと予測しています。(2025/03/12)
[8]ユニ・チャーム、「生理中の睡眠に関する調査」を実施
https://www.unicharm.co.jp/ja/company/news/2025/0312-02.html
2人に1人以上の女性が経血モレへの不安により、精神的・身体的な影響を受け「がんじがらめ睡眠」の状態にあることが明らかになりました。さらに、生理中の睡眠時間は体感で2時間短縮されることがわかりました。(2025/03/12)
[9]issin、つけるだけで回復を促す「スマートリカバリーリング」auで限定発売開始(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000067.000103350.html
パーソナルヘルスケアAI「ウェリーくん」がユーザーのデータに連動し、まるでそばで見守るパートナーのように寄り添いながら、ゲーム感覚の健康管理ができる仕組みを搭載しており、楽しみながら疲れや不調からのリカバリー習慣を促進します。(2025/03/13)
[10]NEC、スマートフォンやタブレット端末を用いた映像解析により自宅での正確なエクササイズをサポートするAI技術を開発(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000873.000078149.html
本技術では、理学療法士の知識をベースに慢性腰痛を持つ人の属性も考慮し、生成AI「cotomi」を活用して正しい動きを分かりやすい表現でフィードバックします。(2025/03/13)
[11]ロシュ・ダイアグノスティックス、心不全リスクを調べる「血液検査」の認知度、1割に満たず。何らかの危険因子があり、心臓に不安を感じていても、7割は医師への相談も受診もせず
https://www.roche-diagnostics.jp/media/releases/2025-3-11
全国の30代~60代の男女2,104名を対象に「現役世代の心不全に対する意識実態調査」を実施し、結果をまとめました。心不全発症前の段階からリスクの早期発見および発症予防が重要。(2025/03/13)
[12]JTBビジネストラベルソリューションズ、対面のコミュニケーション力見える化ツール「Baoble」の販売開始
https://www.jtbcorp.jp/jp/newsroom/2025/03/13_jtb_baoble.html
今まで「何となく」感じていた話し合いの雰囲気や主観に依存したコミュニケーション力の指標を、マネジメント層、スタッフ双方が客観的に把握できるようにすることで、人的資本経営の促進や心理的安全性の向上に貢献します。(2025/03/13)
[13]楽天モバイルと科研製薬、「楽天シニア」と連携し、足の健康に関する情報発信の強化を目的とした業務提携契約を締結
https://corp.mobile.rakuten.co.jp/news/press/2025/0314_01/?l-id=corp_news_press_20250314_01
本提携で両社は、歩くうえで大切な足に注目し、足に関する生活習慣の改善を目指す「満足プロジェクト」を発足し、発信強化のためのサイトを新設しました。(2025/03/14)
[14]協同乳業、血管のしなやかさ維持に役立つ機能性表示食品「血管サポートヨーグルト」新発売
https://www.meito.co.jp/news/20250317-2.html
協同乳業は20年以上に及ぶ研究の結果、ビフィズス菌LKM512とアルギニンを摂取することで、細胞の生命活動に関与する物質「ポリアミン」を増やし、血管のしなやかさを維持することを発見しました。(2025/03/14)
[15]ルネサンス、健康長寿産業連合会「健康経営先進企業事例集2025」を発表
https://www.s-renaissance.co.jp/news/detail/?did=2281&&t=1
『健康寿命延伸産業の創出と拡大』を目的に、この度、本会に加盟し、優れた健康経営に取り組む18社の先進事例を「健康経営先進企業事例集2025」として取りまとめましたのでご報告いたします。(2025/03/17)
[16]ルネサンス、「健康経営の進化」-2040年の日本の未来に向けて-を発表
https://www.s-renaissance.co.jp/news/detail/?did=2282&&t=1
特定非営利活動法人健康経営研究会と健康経営会議実行委員会、健康長寿産業連合会は、『健康寿命延伸産業の創出と拡大』を目的に『「健康経営の進化」-2040年の日本の未来に向けて-』を発表しましたのでご報告いたします。(2025/03/17)
[17]フジッコ、タウンドクター社と協働で管理栄養士による「ダイズライス」を用いた食事相談付き糖質制限プランを提供(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000131.000072851.html
本プランは、タウンドクターが提供するオンライン食事コーチングサービス「N・Partner」と組み合わせたお得なセットプランを提供し、栄養管理・食事指導の専門知識を持つ管理栄養士が、一人一人のライフスタイルや価値観に寄り添いながら「ダイズライス」を用いた食事のアドバイスを行います。(2025/03/17)
[18]ウイングアーク1st、「健康経営における社内コミュニケーション施策に関する実態調査」を実施
https://corp.wingarc.com/public/202503/news2846.html
93.7%が、健康経営の推進に課題を実感。健康経営の一環として実施している社内コミュニケーション施策、平均参加率が「60%未満」の企業は45.9%、など。(2025/03/18)
[19]YStory、Mayo Clinic Platform_Accelerateに採択、米国最大級の患者データを活用して更年期のAIモデル開発・検証、日本発のフェムテックを海外展開へ
https://www.ystoryfemtech.com/news/20250317-pressrelease
更年期ケアに特化したデジタルヘルススタートアップ株式会社YStoryは、日本貿易振興機構(ジェトロ)主催の「HealthTech Gateway “AI Medical in the US”」プログラムのフェーズ2に選出されました。(2025/03/17)
[20]RENPHO JAPAN、パワーレベルや体重・年齢に合わせてAIが最適なトレーニングプランを作成する「AIスマートバイク」が4月13日から新登場(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000023.000097375.html
RENPHOのAIスマートバイクは、フィットネス初心者から上級者まで幅広く対応可能な革新的なトレーニング機能を搭載。一人ひとりに最適なワークアウトを提供し、家族全員で一台を共有できる設計となっています。(2025/03/18)