西根英一さんの前著『生活者ニーズから発想する健康・美容ビジネス「マーケティングの基本」』が出てすぐにHBWとしてインタビューさせていただいたのが、2015年の3月でした。
その後独立されてヘルスケア業界でご活躍され、2020年はじめに『ヘルスケアビジネスの図本~ヘルスケアビジネスの要件を満たすための50の開発目標』を自社出版されました。
益々ヘルスケアに対する社会的期待と要請が高まっていくことが予測されますが、ヘルスケア業界キーマンの西根さんにその活動の行方について図本リリース前後を踏まえて伺ってみました。

西根 英一(にしね えいいち) 氏

株式会社ヘルスケア・ビジネスナレッジ 代表取締役社長

西根 英一(にしね えいいち) 氏

Profile

ヘルスケア(医療・介護、予防・保健、健康・美容)のマーケティング戦略とコミュニケーション設計の専門家。大塚グループ、電通グループ、マッキャン・ワールドグループ(最高知識責任者とグループ顧問)を経て、(株)ヘルスケア・ビジネスナレッジ代表取締役社長、事業構想大学院大学特任教授、千葉商科大学特命教授、成城大学非常勤講師、宣伝会議コピーライター養成講座講師、一般社団法人日中健康寿命促進協会日本代表理事、他数社の顧問や取締役。全国各地のヘルスケア産業創出事業、ヘルスケア人材育成事業、ヘルスプロモーション推進事業の戦略顧問や統括コーディネーター、専門アドバイザーなどを務める。
詳細は https://www.healthcarebiz.jp/ 参照。

Q1.前著のリリースは健康ビジネス業界にとって、とっても新鮮で、かつ内容もシャープで大注目されました。そこから時を経て、今回の図本を自らの手で編集制作・印刷され出版されました。かなり手間もかかったと推察しますが、なぜ、このようなスタイルを選択されたのか?教えてください。

本の出版の意義が問われる時代。ただ買い求める、ただ読み解くだけでは、特にビジネス書は、本という体裁を保つ必要はなくなるでしょう。
そこで、ビジネス書に新しい価値をつくり込みたいと思い、「図本®」(ズボン)をつくりました。

そもそも図面化するのが得意でした。そんな私が描き上げたヘルスケアビジネスの設計図(計50個)に、読者自らがヘルスケアビシネスの構想をメモしていく本です。
お気に入りのズボンを履き倒すように、図本をよれよれになるまで読み倒していただきたいと思います。

加えて、「図本ラジオ」 (SoundCloudから聴取できます。Apple Podcast番組にも登録されています) を無料提供しています。
図本ラジオは“聴く図本”です。私(著者)がラジオパーソナリティになり、50の設計図を丁寧に説明しています。図本を購入すれば、図本ラジオが付いてくる、そんな感じです。

つまり、読者がリスナーにもなるのです。これによって、いわゆる「XaaSモデル」として、「Zubon as a Service」(ZaaS)を機能させています。
本で構想が「広がる」+ラジオで事業が「深まる」の機能加算によって、ビジネス書に新しい価値をつくり出せたと思います。

これを実現できたのは、流通を変えたからです。
あえて、書店やAmazon等を介さないDTC(Direct to Consumer)による直販で、著者である私とすべての読者を直接結ぶルートをつくりました。
これによって、ZaaSが一気通貫しました。コロナ禍の今、DTCは商取引のトレンドにもなっています。

私は、これまで『おらほのラジオ体操』(エムオン・エンターテインメント)、『生活者ニーズから発想する健康・美容ビジネス「マーケティングの基本」』(宣伝会議)の二冊の本を従来の全国流通網で出版していますが、今回の『ヘルスケアビジネスの図本』(ヘルスケア・ビジネスナレッジ)には、このときになかった感覚があります。
注文が入るごとに、読者がヘルスケアビジネスに向かって動き出していく足音が聞こえてくるのです。

Q2.図本は様々な健康ビジネスプレイヤーの教科書的存在になっていると思うのです。事実、弊社スポルツでもパートナーに同書を配りました(笑)同じ問題意識を共有できていると様々なプロジェクトドライブがスムーズになることは我々も認識していたからのアプローチでした。同書購入者へのサポート機会も様々なケースがあったと思うのですが、それらをやりながら感じたことをぜひ教えてください!

大川さん、その節は、図本のまとめ買いありがとうございました。

まとめ買いいただく方は、実はとても多く(30冊購入いただいたら図本セミナー「Zubon Zoom」しますよと案内していたせいもありますが)、企業のヘルスケア事業部メンバーやヘルスケア専門職仲間が図本を持ち寄って、図本セミナーの後も自発的に「図本朝会」なる勉強会を継続的に開催したりしています。

目指すところは、同じ問題意識を持った仲間同士で事業の確度とプロジェクトの速度を上げていこう!ということのようです。
このような動きがより活発になれば、「全国図本ビジネスピッチ」の開催も現実味を帯びてきますね(笑)。

さらに、全国各地の自治体の地域ヘルスケア事業の勉強会や研究会(たとえば、850社を超える会員からなる神奈川県の未病産業研究会の「西根塾」他)の指定参考書であったり、私が教鞭をとる大学や大学院の講義の指定教科書にもなっています。
まさに、ビジネスとパブリックとアカデミアに図本は流通しています。

Q3.今後の西根さんの方針や予定を可能な範囲で教えてください。

私は、ヘルスケアマーケティングの専門家としてよく知られているようです。

特徴的なのは、ビジネス(企業)、パブリック(省庁・自治体)、アカデミア(大学・研究機関)の3方向に、1/3ずつ活動域を持っているところでしょう。
ヘルスケアしている人との接点が3つ、ないしヘルスケアの入口が3つ、あるいはヘルスケアの出口が3つというように、ヘルスケアマーケティングのナレッジを“配電”しています。
この比は今後変わらず持ち続けるでしょう。どこからでも、スイッチを押してください。
ゆめのある、しあわせの、きっかけは、そこから始まるでしょう。

ありがとうございました!

図本® 直販サイト
https://healthcare.official.ec/items/25725950

インタビュアー:大川耕平

[取材日:2021年1月25日]