こんにちは、里見です。

ヘルスケアの領域で使われるキーワードとして「アウトカム」があります。
特に、最近の特定保健指導領域では、この「アウトカム」という言葉に、これまで以上にフォーカスが当たってきている印象です。

そこで、今回はこの「アウトカム」について、ヘルスコーチングの視点で解説してみたいと思います。

特集:ヘルスコーチングの視線編

ヘルスコーチングの可能性を探る:本来のアウトカムとは何か?

1、「アウトカム」とは

「アウトカム」とは、ヘルスケア領域だけで使われる言葉ではなく、ビジネス全般でも使われるキーワードです。
しかし、「アウトカム」に似た言葉の「アウトプット」の方が一般的で、「アウトカム」はそこまで一般的ではないかも知れません。

この「アウトプット」と「アウトカム」の違いとしては、

・「アウトプット」
 →何かを実施したことにより生み出された「結果」

・「アウトカム」
 →何かを実施したことのアウトプットがもたらす「変化」や「成果」

このような違いの整理になります。

「アウトプット」は生み出された結果のことで、「アウトカム」はアウトプットされた結果の「成果」や「変化」を指しているということになります。

2、ヘルスケアでの「アウトカム」とは

ヘルスケアの領域において「アウトカム」というキーワードは、かなり前から使用されており、「アウトカム」はビジネス、事業の中でも扱われています。

私は、ヘルスケアの領域に既に25年近く身を置いていますが、以前から「アウトカム」というキーワードはビジネス、事業の視点、そしてプログラム、サービスの成果という部分でも使用されていました。

特に、「アウトカム」というキーワードが以前から使われていたのが、職域向けのヘルスケアサービスや特定保健指導関連であったように記憶しています。
職域向けのヘルスケアサービスや特定保健指導関連での「アウトカム」は、まさに「成果」や「変化」として扱われており、客観的な指標、数値的に表すことが一般的です。

そのため、職域向けのヘルスケアサービスや特定保健指導関連での「アウトカム」は、どれだけ数値的に変化したか、どれだけの人が変化したのかなどといった、結果、成果の数値にフォーカスする時に使われるケースが多いです。

3、最近「アウトカム」というキーワードが注目されている理由

最近、職域向けのヘルスケアサービスや特定保健指導関連の人達と会話すると、「アウトカム」「アウトカム重視」「成果主義」みたいなキーワードが多く出てきます。

この背景には、第4期特定保健指導に「アウトカム評価」が導入されるという動きがあるからだと思われます。

この第4期特定保健指導の「アウトカム評価」について、ここでは詳しく説明はしませんが、要はこれまでの介入のプロセスによるポイント制から、アウトカム評価として、成果、変化としての腹囲・体重が「2cm、2kg」減少した場合、180ポイントが付与されるというものなのです。

だから、「アウトカム」「アウトカム重視」「成果主義」という点に意識が向いてきているのです。

4、「アウトカム」は「一時的な数値の変化、成果」ではない!

「アウトカム」というと、どうしても結果や成果に目が向きがちです。

たしかに、サービスやプログラムを提供して、成果や変化に結びつかないものは、提供する価値が無いと言えます。
やはり、サービス、プログラムを提供することで、しっかりと数値的な変化を提供し、対象者の課題に対してアプローチできなければ、意味がありません。

そのため、サービスやプログラムを提供する多くの事業者は、数値的な変化としての「アウトカム」に注力しているのです。
また、サービスやプログラムを採用する側としても、数値的な変化としての「アウトカム」は評価、判断する際の指標としてわかりやすいのです。

しかし、ここで言っている「アウトカム」は、サービスやプログラムの提供期間だけを捉えたもので、一時的な変化、成果という位置付けが多いのが事実です。

本当の意味での「アウトカム」としての変化、成果とは、一時的な数値的な変化、身体の変化だけではなく、行動変容を含めた生活習慣の改善であったり、改善行動の継続、習慣化なのです。

サービス、プログラム提供期間だけの一時的な数値的な変化や身体の変化だけで行動変容や習慣化が伴わない「アウトカム」では、サービス、プログラムの提供期間が終了した後で、また後戻り、リバウンドということにつながり、サービス、プログラムを提供したこと自体が、意味をなさないことになってしまうのです。

5、本当の意味での「アウトカム」とは、行動変容、習慣化

今回の第4期特定保健指導に「アウトカム評価」が導入されることで、「アウトカム」ということだけが一人歩きしていますが、実際には本来の保健指導の目的であった「行動変容を評価する」という考え方は、しっかりと残っているのです。

やはり、一時的な数値的な変化や身体の変化だけでは、本当の意味での改善にはつながりにくいのは事実です。
行動変容や改善行動の定着化、習慣化に導くことができないと、自走した健康的な生活につながっていかないのです。

だからこそ、数値的な変化や成果のアウトカムにプラスして、行動変容、習慣化の成果も含めた本来の「アウトカム」という視点が重要なのです。

私が専門としている「ヘルスコーチング」は、本人の主体性を持った取り組みをサポートしながら行動変容、習慣化に向けたアプローチするコミュニケーション技法です。

これまでの特定保健指導では、介入のプロセスによるポイント制だったため、ヘルスコーチングのコミュニケーション、アプローチを導入する場合には、活用できることが限定されていました。
そのため、本来のヘルスコーチングの良さを活かせないケースがありました。

しかし、プロセスではなく、第4期特定保健指導の「アウトカム評価」では介入のプロセスの制約が減るため、ヘルスコーチングのコミュニケーション、アプローチが、これまで以上に取り入れやすくなると考えています。

また、本来の保健指導の目的である「行動変容を評価する」という考え方は、ヘルスコーチングの主体性を持った取り組みをサポートした行動変容、習慣化に導くアプローチで実現可能なのです。

一時的な数値の変化、身体の変化だけの行動変容や習慣化が伴わない「アウトカム」ではなく、サービス、プログラムの提供期間が終了した後で、後戻り、リピーターにさせないことも含んだ「アウトカム」づくりが、今後の勝負のポイントになってくると思います。

もし、行動変容、習慣化を含めた「アウトカム」にご興味ある方、またヘルスコーチングの導入についてご興味ある方、ぜひご連絡ください。


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健康ビジネスキーワード

「個人も再定義へ」

予測不可能性が常態化していく。
あらゆる事業が、再定義を余儀なくされている現在進行形の中、個人も再定義すべきタイミングが来ていると言われています。
いかがでしょうか?
このゴールデンウィーク中に少し考えてみましょう。

今週の注目記事クリップ

[1]クオールとサントリーウエルネス、地域の健康支援に関する協業開始(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000119836.html
クオール薬局の薬剤師がお客様の健康食品に関する適切な理解を促進。あわせて、サントリーウエルネスの健康食品6ブランドの7日間お試しサイズを新たに販売開始。(2023/04/13)

+++★追加解説音声:110秒(編集主幹 大川耕平)★+++
通販モデル商品の新たなチャネル拡大の見本です!
https://youtu.be/bhuOqN51-dE

[2]パーソル総合研究所、「グローバル就業実態・成長意識調査 -はたらくWell-beingの国際比較」の結果を発表
https://rc.persol-group.co.jp/news/202304121000.html
日本のはたらく幸せ実感はなぜ低い?日本企業の組織文化がはたらく幸せ実感を下げていることが判明。特に、非管理職のはたらく幸せ実感が低く、不幸せ実感を上げる要因に。(2023/04/12)

[3]カシオ計算機、初号機の角型フォルムに心拍計測機能を搭載した“G-SHOCK”「DW-H5600」発売
https://www.casio.co.jp/release/2023/0412-dw-h5600/
新製品の「DW-H5600」は、スポーツシーンで便利な心拍計測機能を搭載した耐衝撃ウオッチ。ランニング、ウォーキング、ジムワークアウト、インターバルトレーニングの4つのアクティビティに対応。(2023/04/12)

[4]アシックス、FC今治と共創し市民の健康増進をはかるプロジェクトを実施
https://corp.asics.com/jp/press/article/2023-04-12
アシックス独自の健康増進プログラム「ASICS HEALTH CARE CHECK」などを用いた、FC今治ファンコミュニティを中心とした今治市民の心身の健康増進をはかるプロジェクトを実施しました。(2023/04/12)

[5]メタボリック、発酵完全栄養食「BALANSMART」新発売
https://www.mdc.co.jp/company/news/2023/0412.html
甘味料・香料不使用で発酵・雑穀素材にこだわった発酵完全栄養食。1杯で1食分に必要な22種の栄養成分が充足できる。(2023/04/12)

[6][無料レポート]女性ヘルスケア白書2023年度 市場動向予測(ウーマンズラボより)
https://womanslabo.com/info-20230328-1
2023年度の女性ヘルスケア市場の行方はーー?今年度もウーマンズが市場トレンドを徹底分析し、業界向けのキーワード選定をしました。(2023/04/13)

[7]cotreeとLetterMe、「わたしを大切にする時間 セルフケアプラン」を期間限定で提供
https://cotree.co/posts/letterme
本プランは、オンラインカウンセリング「cotree」と、未来の自分宛てに書く自分のための手紙「LetterMe」が各1回ずつ体験できるセットプラン。(2023/04/13)

[8]オムロン ヘルスケア、「OMRON connect」とJMDCのPHRサービス「Pep Up」との連携スタート
https://www.healthcare.omron.co.jp/corp/news/2023/0414.html
データ連携により、オムロンヘルスケア製の通信機能付き血圧計や体重体組成計、活動量計で測定したデータを「Pep Up」で利用できるようになります。はじめに体重体組成計で測定したデータを連携。今後データ項目は段階的に拡充予定。(2023/04/14)

[9]インテージヘルスケアなど、インテージヘルスケアフォーラム2023「ヘルスケアの未来を切り拓く~そして新たなステップへ~」開催
https://info.intage-healthcare.co.jp/2023hcforum
開催日は5月16日(火)。インテージヘルスケアグループ4社は「ヘルスケアの未来を切り拓く」をテーマに、データを軸とした課題解決や意思決定に貢献するソリューション、未来の展望など、様々なコンテンツをお届けします。(2023/04/14)

[10]シード・プランニング、市場調査レポート:2023-25年 ホームIoT、健康、安心関連IoTサービス市場動向
http://store.seedplanning.co.jp/item/11550.html
スマート端末/スマートフォン、AIスピーカー、ウェアラブル機器などスマート端末利用によるホームIoT、健康、セキュリティ関連サービスの広がり!(2023/04/14)

[11]矢野経済研究所、健康食品市場に関する調査を実施(2023年)
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3235
拡大を続ける健康食品市場。新型コロナウイルス感染症拡大の中で、健康・免疫や、コロナ禍での新生活様式において生まれたストレス・睡眠問題や、運動不足による肥満への対策需要が高まった。(2023/04/14)

[12]ベースフード、iOSアプリ「BASE FOOD ヘルスケア」のβ版をリリース
https://basefood.co.jp/news/1454
「BASE FOOD ヘルスケア」は、生活習慣病の予防に重要な3つの要素である、栄養・身体活動・睡眠の情報を毎日自動で計測し可視化することで、ユーザーの長期的な健康維持をサポートすることを目的とした、BASE FOOD定期購入会員向けのアプリ。(2023/04/17)

[13]フェムケア イニシアティブ:健康診断に月経困難症や更年期障害などの問診追加を(Beyond Healthより)
https://project.nikkeibp.co.jp/behealth/atcl/feature/00054/041700012/
自由民主党の有志議員で構成する「明るい社会保障改革推進議員連盟」は2023年3月30日、女性の健康を守り、活躍を推進していくための提言「女性の健康増進に向けた政策パッケージ」をとりまとめ、加藤勝信厚生労働大臣へ申し入れを行った。(2023/04/17)

[14]クオリティライフサービス、Webライブ&講座録画動画配信「時間栄養学を活用して確実に成果を出し、評価、検証する方法」【PDF】
https://www.qls.co.jp/school/pdf/2023school-seika.pdf
https://www.qls.co.jp/
[特定保健指導4期対策講座]時間栄養学を活用して2cm2kg減量を達成する。オンラインライブ講座は6月4日(日)13:00~。お申込締切は5月21日(日)。(2023/04/17)

[15]メドピア、約7,000万人のT会員に向けた歩いてマイルを貯めるヘルスケアアプリ「Tヘルスケア」が100万ダウンロードを突破!
https://medpeer.co.jp/press/10640.html
MediplatとCCCMKホールディングスが共同事業として展開する「Tヘルスケア」は、アプリ上でバーチャルウォーキングラリーを体験しながら、毎日の歩数・消費カロリー・移動距離を楽しく記録できるヘルスケアアプリ。(2023/04/18)

[16]三菱電機、運転中のドライバーの生体情報から体調異常を検知する技術を開発
https://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2023/0418.html?cid=rss
運転中のドライバーのわき見や居眠りを検知する「ドライバーモニタリングシステム(DMS)」のカメラを用いて、脈拍や血圧の変化などの生体情報を非接触で推定し、ドライバーの意識消失などの体調異常を検知する技術を開発。(2023/04/18)

[17]Uber Health、処方薬の即日配達を追加
https://mhealthwatch.jp/global/news20230414
配車サービス会社Uberのヘルスケア部門であるUber Healthは、同社のダッシュボード上からユーザーが処方箋の即日配達を手配できるサービスの提供を開始することを発表した。(2023/04/14)

[18]『mHealth Watch』注目ニュース:「会話へのAI利用」がもたらす影響
https://mhealthwatch.jp/global/news20230424-2
ChatGPTが話題となり、早くもヘルスケア関連での導入したサービスが登場してきています。他にもオンラインヘルスケアサービスに、チャットボット導入を検討したいとの話しもよく聞くようになりました。(2023/04/24)