こんにちは、渡辺武友です。
今年もHealth Biz Watchと同時にmHealth Watchも運営してきました。
今年のヘルスケア市場は、新型コロナ以降大きく変動してきました。
今回は「注目ニュース」をいくつか取り上げて、今年の動向を振り返ってみたいと思います。

特集:健康ビジネス・マーケティング&収益化編

2021年後半、「注目ニュース」で取り上げた今年の動向

mHealth Watchでは、毎日のニュースクリッピングと週1回の「注目ニュース」の掲載を行ってきました。今年も「注目ニュース」を振り返っていきます。

今年mHealth Watchで取り上げた記事を改めて見ていくと、現在でこそ国内新型コロナ感染者数も落ち着いてきていますが、今年は年初から第3波があり、4波、5波と続いたことで、ビジネスシーンにおいても新型コロナとの共存、新型コロナを体験したからこその世界にシフトするときだったと言えるでしょう。

今年後半の「注目ニュース」から、新型コロナによってどのような変化が起きているのかをピックアップしてご紹介していきます。

健康行動・習慣の変化

●週1回以上の運動・スポーツ実施率は、調査開始以来最高(7月12日掲載)
https://mhealthwatch.jp/japan/news20210712-2

笹川スポーツ財団が2年に1回実施する調査結果を取り上げました。
調査時期は1年近く前のものではありますが、特徴として

「週1回以上の運動・スポーツの実施率が過去最高の59.5%」
「10代後半から20歳代の筋力トレーニングの実施率が大幅に増加」

長引くステイホームを受けて、新しいライフスタイルを模索しているのがわかります。
特に、一昔前では10代20代は多少不規則な生活をしたところで健康体であり、健康を意識することなどはなかったわけですが、今は違うようです。
環境変化に合わせ、意識的に健康のあり方を考えるようになったのでしょうか?
それとも、映える体づくりを意識しているのでしょうか?


●アールビーズスポーツ財団、日本最大級のオンラインイベント『オクトーバー・ラン&ウォーク2021』開催(8月9日掲載)
https://mhealthwatch.jp/japan/news20210809

スポーツイベントはリアルが常識だったわけですが、多くのイベントがオンライン開催にチャレンジすることとなりました。
このような機会がなければ、しばらくオンラインのスポーツイベントはマイナーなままだったかもしれません。
スポーツイベントも場所に縛られない、新たな可能性が出てきたと言えるでしょう。


●LIFE CREATE、チームコーチングを活用したオンラインダイエットサービス『BeTEAM』(8月30日掲載)
https://mhealthwatch.jp/japan/news20210830-2

フィットネスクラブなど、人が集まる場だからこそモチベーションを保てる場合もあります。オンラインではどうしても一人で取組むことになりやすく、なかなか継続しない人も多いでしょう。
もちろん以前からオンラインコミュニティはありましたが、ただオンラインの場があるだけではないコミュニティサービスとして成立するものが国内でも登場してきました。

高齢者市場の変化

●ウーマンズラボ、高齢者・エイジテック市場に関わる企業が見るべきデータ(10月11日掲載)
https://mhealthwatch.jp/japan/news20211011

高齢率が3割を超える日本。今後も高齢率は増加するわけですが、高齢率と平行して増加するのが認知症有病率です。65歳以上に占める割合が2025年には20%を超えると試算されています。
高齢社会における対策は、専門家だけが対応すればよい時代ではなくなってきました。
SDGsの「誰も取り残さない」視点からも、我々ヘルスケアに携わる者として無視できず、具体策を考えていかなければなりません。


●高齢者の方が、HingeHealthのデジタルMSKプログラムを使用する可能性が高い(9月6日掲載)
https://mhealthwatch.jp/global/news20210906

HingeHealthは、米国でデジタル筋骨格(MSK)プログラムを企業向けに提供しています。
米国では、新型コロナ以降ロックダウンが長く行われ、テレヘルスなど在宅診療が伸びました。
今年後半にはロックダウンも解除されたことで、リアルサービスに戻る方も多くなる中、退職者つまり高齢層のオンライン利用が若い世代に比べて多いことがわかりました。
新型コロナ以前の利用率は、米国でも高齢者は低かったのですが、きっかけはロックダウンにより仕方なしかもしれませんが、一度使うと定着しやすいのは高齢層だったことが見えてきました。

注目企業の動向

●Sharecare、在宅医療プロバイダーCareLinxを6,500万ドルで買収(8月23日掲載)
https://mhealthwatch.jp/column/news202123

米国を代表する法人向けヘルスケアサービスを提供するSharecareは、オンラインサービスの強化に留まらず、在宅介護支援領域までビジネスを拡大しています。
おそらく上記HingeHealthと同じく、企業で働く人から退職者までを視野に展開していくと思われます。
実質シェアトップのSharecareが、他社を引き離すような展開になってきました。


●Amazonのイベントでヘルスケア関連多数紹介(10月4日掲載)
https://mhealthwatch.jp/global/news20211004

今年はGAFAのヘルスケアでの動向にも注目が集まった1年でした。
中でも活発に情報更新していたのはAmazonです。Amazonならではの商品やサービスの購入体験をベースにした、ヘルスケア商品サービスの提供を多角的に行っています。
この発表イベントで特徴的だったのが、「高齢者向けサービス」の強化です。
上記のHingeHealthやSharecareでも紹介したように、高齢市場を意識したアプローチが米国でも目立ってきました。


●23andMe、オンライン薬局Lemonaid Healthを4億ドルで買収(11月1日掲載)
https://mhealthwatch.jp/global/news20211101

遺伝子検査をポピュラーなものにした第一人者の23andMe。
遺伝子検査サービスはチェックだけで終わりやすく、ビジネスとしての広がりが持ちにくいため、一時のブームとなってしまった印象があります。
すでに老舗となりつつある23andMeですが、この1年は活発的でした。
SPAC(特別買収目的会社)との合併後に上場し、GlaxoSmithKlineからの出資を受けて医薬品開発に関する協業をスタートしました。
そして、Lemonaid Health買収により、サービス提供にも踏み出すこととなりました。
長い年月をかけて、ようやくチェック&ソリューション体制が整ったことになります。

今後の注目領域

最初に取り上げた「健康行動・習慣の変化」は、国内を中心に新型コロナ以降の変化を整理しました。
これは国内だけでなく、海外でもすでに同じような動きが起きています。

今後の話しとしては、2つ目の「高齢者市場の変化」、3つ目の「注目企業の動向」で取り上げていますように、高齢者を意識したアプローチが増加していることに着目したいと思います。

日本はすでに高齢社会に突入していますが、海外ではそこまでではないのでは?と思われる方もいるでしょう。
実は、海外は高齢社会を見据えた準備が、ある側面では日本以上に先行していると言えます。
今回のようなICTを一般市場に活用する点では、米国は先行するサービスが増えています。

それはなぜか?と言うと、米国は高齢社会に向けた国際的なルール作りに国を挙げて取組んでいるためです。
「TC314 Aging Society」と呼ばれる国際基準化で、議長は米国が努めています。
米国が中心となり、世界各国から代表者が集まり、高齢社会における各取組みを世界的ルールとして作っています。

TC314の中にはいくつかのワーキンググループがあり、高齢者へのサポートについて、高齢者看護をする人の役割について、などが国際ルールとして定められます。

国際基準化されるとどうなるかと言うと、TBT協定によりWTO加盟国は従うことが義務付けられます。
日本も加盟国ですので従わなければなりません。

高齢社会先進国である日本が、他国で決められたルールに従い、既存商品やサービスも変更していかなければならなくなる可能性が極めて高いです。

このようなルールをすべて勝手に決められるのを良しとしない試みとして、ワーキンググループの4つ目(WG4)として日本が提案を行ったのが「高齢社会におけるウェルビーイング」です。
この提案が今年採択され、基準化作りの活動を日本政府が中心となり行っています。

この活動は高齢者だけが対象ではありません。
高齢社会における働く世代や子供など、すべてが対象になります。

高齢社会においてどうあるべきか?

これはSDGsも踏まえた活動になります。そして、ヘルスケアは中心的存在になりますので、皆さんも動向を注視するだけでなく、率先して活動に参加されることを本気で考えるタイミングにきたと、捉えていただきたいと思います。

自社の商品サービスを国際基準化する

「率先して活動に参加する」

とは具体的に何をするのか?と言うと、高齢社会に役立つものとして国際基準の中に、自社商品サービスを定義してしまう活動のことです。

「そんなことできるの?」
と思うかもしれませんが、欧州北米では事業戦略の一環として当たり前に取り入れています。
Googleは国際基準化のための活動費用で年間20億円以上投じています。
現在は、中国や韓国も力を入れているのがこの国際基準化です。

企業において、国際基準化は重要な取組みではありますが、特許のように企業独自で取得することはできません。
国としての提案になります。

現在「高齢社会におけるウェルビーイング」に関する規格を、日本国として提案していこうと準備に入っています。
そこにエントリーすることが具体的な活動になります。

これをチャンスと捉えられる方は、詳細をお伝えしますのでご連絡ください。
お問合せページより「国際基準化について」と記載してください。https://healthbizwatch.com/contact

健康ビジネスキーワード

「商品はプロセス(=使用価値)のためのメディアになる」

どのような商品であるか?はすぐに真似できます。
もはや、どんなに機能追加しても完成形の商品だけでは差別化や魅力化が難しい時代です。

顧客が価値を感じるのは商品に込められたWhyです。
それは、思いやこだわり、そして試行錯誤のストーリーです。
その商品の持つストーリーへの共感が、使用価値を味わう起点となります。

売るべきものがプロセスにシフトしていると言えるのです。
もはや、「商品はプロセス価値を体験するためのメディアである」ということです。
さて、貴方はこの流れに乗れていますか?

※参考:「プロセスエコノミー」あなたの物語が価値になる 尾原和啓著 幻冬舎

今週の注目記事クリップ

[1]LINEヘルスケア、「LINE ドクター」ユーザー画面を大幅リニューアル
https://linehealthcarecorp.com/ja/pr/news/2021/36
「LINEドクター」は、診察予約からビデオ通話での診察、決済までLINE上で完結することのできるオンライン診療サービス。今回、ユーザーの利便性向上のために利用画面のリニューアル、医療機関の検索機能を強化した。(2021/12/01)

[2]ノバルティス、がん経験者の暮らしの中でホッとするヒントを見つけるためのウェブマガジン「がん&」を公開
https://www.novartis.co.jp/news/media-releases/prkk20211201
「がん&」では、がん患者さんやご家族が生活の中で経験する不安や困りごとをテーマに取り上げ、専門家を含む多職種の方とともに、解決に向けたヒントを考え発信する。(2021/12/01)

[3]リクルート、コロナ禍で変わる職場の“集まり方”を調査
https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/2021/1202_9745.html
伝達を目的とした会議は「オンラインでも対面でも同じ」と回答した人が約4割。しかし、ブレーンストーミングや合意形成といった創発の場や、研修などの体験共有、雑談など非公式のコミュニケーションについての多くは「対面のほうが有効」と回答した人が4割超。(2021/12/02)

[4]ルネサンス、鳴門市が進める屋内用トレーニング足袋「ナルトレタビ」をオンラインショップにて販売
https://www.s-renaissance.co.jp/news/detail/?did=1740&&t=1
足袋の特性として、歩く際にしっかりと地面を掴むなど足指や足裏の筋肉を鍛える効用がある。足裏全体で身体を支えることができるようになることで、正しい姿勢と安定した体幹を手に入れることができる。(2021/12/02)

[5]ロッテ、全国「噛む力(かむりょく)」調査を実施【PDF】
https://www.lotte.co.jp/info/news/pdf/20211201072811.pdf
https://www.lotte.co.jp/
47都道府県毎に20-60代男女100名ずつを対象に調査。全国「噛む力」ランキング1位は秋田県。性年代別で見ると60代女性が最も「噛む力」が高い。噛むことの健康効果について最も多くの人が知っていたのは「脳の活性化」。(2021/12/02)

[6]クックパッド、「食トレンド大賞2021」と「食トレンド予測2022」を発表
https://info.cookpad.com/pr/news/press_2021_1202
食トレンド大賞2021は、検索頻度が2年間で9.4倍伸びた「オートミール」を米の代替食品として活用する「オートミールごはん」が大賞。(2021/12/02)

[7]ANAホールディングスと東京工業大学、歩行支援ロボットを利用した健康に歩き続けられる新たな旅スタイルをめざした初の実証実験
https://www.anahd.co.jp/group/pr/202112/20211203-2.html
実証実験では、一般の参加者8名に四国八十八ヶ所72番札所である曼荼羅寺から73番札所の出釈迦寺までの500mの上り坂を「WALK-MATE」を装着して歩いてもらう。歩行データとアンケートを分析し、効果と課題を検証していく。(2021/12/03)

[8]クラブビジネスジャパン、FitnessBusiness:注目されるメディカルフィットネスの動向
https://business.fitnessclub.jp/articles/-/782
メディカルフィットネスの一番の特徴は、特定の目的をもって入会する会員さまが多く、退会率が民間のフィットネスクラブと比較したときに著しく低いこと。有識者の話では、民間のフィットネスクラブの退会率の約1/5になるという。(2021/12/06)

[9]中高年女性のウェルビーイング 今後の人生の充実に必要だと考えていることは?(ウーマンズラボより)
https://womanslabo.com/marketing-research-211206-1
医療脱毛専門院リゼクリニックが40-60代女性を対象に意識調査を実施。中高年のウェルビーイング3大条件は「健康・体力」「ひとりの時間」「貯金」と言えそう。全年齢階級で同3項目がトップ3に。(2021/12/06)

[10]NTTドコモとメドレー、オンライン診療・服薬指導アプリ「CLINICS」の共同運営を開始
https://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/2021/12/07_01.html
「CLINICS」の共同運営によってオンライン診療の適切な普及を推進し、それを起点とした患者の医療活用を支援する新サービスを展開することによって、患者が医療ヘルスケアを使いこなせる未来の早期実現をめざす。(2021/12/07)

[11]ハルメク 生きかた上手研究所、2021シニアトレンド&2022シニアトレンド予測を発表(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000060.000034765.html
若者世代とは全く異なる“今年のシニア“を総ざらい!“親目線”推し活、カジュアル終活など、意外なシニア世代の一面が明らかに。(2021/12/07)

[12]『mHealth Watch』注目ニュース:HoneyNaps、不眠症デジタル治療プラットフォームを開始
https://mhealthwatch.jp/global/news20211213-2
スリープテックと呼ばれる分野も、初期は健康領域における睡眠改善でしたが、今回紹介するHoneyNapsのように、現在は医療での活用が模索されています。(2021/12/13)